如月の華 | ナノ



地獄は意外と天国に近いかもしれない
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「上がれっ…」

その言葉と同時に自分の差し出した手のひらにベシッと強い音を立てて上がった箒

それに目をまん丸くして、内心ため息をついた。

「すごいじゃないか!やっぱりルーズの妹だね」

「はぁ…それは、言われても嬉しくないかな」

「そうなの?ルーズの妹なんてすごくいいじゃないか」

そう思ったことは一度だってないし。

ルーズが兄で本当に嫌。

「だって本当にあの人ひどいんだもん。意地悪ばっかりするし」

「本当に?ルーズがそんなことするとは思えないけどな…」

セドリックの驚いたような表情に自分も目を丸くした。

あいつ、猫被ってんな!!!

「本性はほんとに悪なんだから!」

それに腹を抱えて笑い出したセドリックはまた爽やかな笑顔を向けた。

なんだか苛立つ気持ちもその笑顔で全部白に染まっていくみたい

本当に爽やかすぎる。なんて青年なんだセドリック…

「近いうちにクディッチがあるんだ、そこでルーズの活躍を見てあげるといいよ」

「絶対嫌よ!」

それに苦笑したセドリックは箒にまたがると宙に舞った。

それを歪んだ表情で見てみると、セドリックは声を出した。

「さぁNO NAMEもおいで」

「む、無理だよっ、上がれないっ!っていうか足が地面に触れないなんて無理っ!!」

それを聞くとセドリック地面に足を付けると、手招きをした。

頭を傾けて近づくといきなりセドリックの手が両脇に入ってくると、

その瞬間自分の身体が浮いたような気がして、フラフラした。

「な、なにっ?!」

視界が揺らいで、気づくと自分は箒にまたがっていた、

そして後ろには同じくセドリックが箒にまたがっていた。

「よし、行くよっ」

「なに?!やっ…ちょっ!」

セドリックの声と同時に地面から足が離れていくと、

急にめまいがした。

どんどん地面から離れていく、下を見るのが怖くてたまらない。

「む、無理だよセドリック!!」

「あはは、まだまだだよ。じゃあ目をつむっていて」

まだ上がるの?!と思いながら浮遊感を感じながらも瞳を閉じた。

箒を握る手は汗ばんでいる、ふいにセドリックの片手がお腹に回ると

自分の身体を支えていてくれる。それでも怖くて涙がでそうだ。

「よし、NO NAME目を開いてごらん」

「っ…」

恐る恐る目を開くとそこには見たことのない景色があった。

言葉もでないような景色に息を呑む。

私たちがいた所はすごく高くて、ホグワーツが見渡せるところまで来ていた。

でもその景色は美しくて、太陽の光で輝くホグワーツはまるで違ってみる。

どこかのお城みたい。

「こんなの見たことない…」

「高いところから見る景色はこんなに綺麗なんだ、だから早く慣れるといいね」

「…う、うん」

ふと見せたセドリックの笑顔、

心臓が早くなる。なんて胸に響く笑顔なんだろう。

シチュエーションの影響だろうか。


   

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