隠し事が溶けていく 5/5 両親の墓の前でルーズがため息をついたので、視線を向ければ思ったとおりルーズは何か考えるような顔をしていた。 「気になるのか、秘密の部屋が」 今こいつを悩ませる話題といったらこれしかないだろう。秘密の部屋、本当に存在するなんてな。でも俺たちにとって危ない話だし、あいつにとって危険なことだってのは重々理解している。現に被害者が出ているんだ。 「父さん、母さん・・・あいつを納得させる答えが出せそうにないよ」 あいつは、NO NAMEは俺たちの奇妙な行動に不審を抱いている、だからこそ俺たちの言葉なんか信じないし、俺たちの言うことなんか聞きやしない。危ないったらありゃしない、こっちの心情も少しはわかってもらいたいけれど、それができそうにない。あいつがそれを納得するときは、俺たち、今の状況が壊れるときだから 「簡単だろ」 ルーズの声が鼓膜を揺らせば、ルーズはまっすぐと俺を見て小さく囁いた 「簡単だよ、ラン。俺たちは・・・本当の」 「やめろルージー」 俺の声にルーズが少し目を見開くと反抗するように目をそらして小さく舌打ちした 「いつまでも、隠してはおけないんだ」 確かにそうだ、いつまでもこの状況が続くわけない。でも今は、安らかな時間を過ごしていたい。だって絶対に壊れてしまう、俺たちは、深いところでつながっていたはずなのに、それがなくなって・・・俺たちはバラバラになってしまうんだ。 「お前と俺は違うよ、ルーズ。求めているものも違う」 それに驚いたようにルーズは肩を揺らした 「甘く見るなよ、お前の兄貴なのに気づかないわけないだろ」 [しおりを挟む] |