如月の華 | ナノ



謎の、男
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今年も墓地にやってきて、両親のお墓の前に三人で立った。お祈りを済ませて、色々なことを報告した。すると後ろの林の方で物音がしたので気になって見つめてみると、黒い影が動いているのが見えた。近づいて、林に入ってみると林の中には一人の男の人がいた。彼は私を見て驚いたように目を見開くとすぐに私の名前を囁いた。

「・・・え、と」

私のことを知っているのか、なんだか泣きそうな顔をしている。茶色い髪の毛の彼は一歩私に向かって近づいたので反射的に後ろに下がると、彼は少し顔を歪めた

「NO NAME、生きてたんだな、どうしてこんなところに・・・いるんだ」

「・・・人違いです、あの・・・兄たちのもとに戻るので・・・」

私の言葉に目を丸くした彼は、ゆっくりと口を開いた

「お前の兄は、俺だろ・・・?」

歪んだ顔と、細まった瞳になんだか心の中がじんわりと熱くなった、その瞬間彼の姿が霧のように消えてなくなった。呆然とそこに立ちすくむ私は何をするわけでもなく、いなくなった彼の姿を必死に頭にとどめていた。



 

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