如月の華 | ナノ



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「ちょおおおっと待って」

「ははっ、足で地面を蹴るだけだよ」

「そ、それが嫌なの!」

セドリックとの飛行訓練が今も続いているが、どうしても慣れないNO NAMEの顔は険しい。

地面から足が離れられない。

「じゃあ休憩しようか」

「あ、ありがとう…」

飛んでもいないのに疲れはてた顔をするNO NAMEに笑いかけたセドリックは
NO NAMEを見つめたまま、何も言わなくなった。

「なに?」

「…どうしたの?」

突然セドリックの手はNO NAMEの頬へと伸ばされて、優しく触れる。

そこはまだ少し赤い、あの時殴られた頬だった。


NO NAMEは少し戸惑ったが、小さく笑ってなんでもない、と言った。

だがセドリックの表情は変わらず、瞳を細められる。

静かな空気の中、先ほどまであった会話もなくなり、風だけが二人を揺らす。


「…嘘だ」

「ほ、本当だよ」

「じゃあどうして赤いの?」

「…それは、」

言えることがなくなてしまった、セドリックの顔を見ると、嘘もつけないらしいNO NAMEは息を吐くと、

小さな声で言った。

「な、殴られた」

「誰に?!」

「知らない人、一年生だと思うけど…ロン達をいじめてたから止めに入ったら」

険しいセドリックの顔は今までに見たことない顔のような気がする。

息を吸い込んで、吐き出すと、柔らかい表情がセドリックに帰ってきた。

「しょうがないな、女の子なんだから自分を大切にしないと」

「でもロン達がいじめられているのを見るほうが、辛かった」

正直な感想だった、自然と足は動いて、何も言わないでも杖は反応した。

「そっか、優しいね、NO NAMEは」

「だって友達だもの」

「うん」

爽やかに笑ったセドリックの顔を見て、NO NAMEも顔を緩ませた。

「(今の笑顔で一ヶ月は生きていける)」












   

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