如月の華 | ナノ



正義のヒーローになってみたかった
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ホグワーツ休日明けでの最初の行事はクデッチだった。

朝からハーマイニーに起こされたNO NAMEは眠そうな顔をしながらも競技場に向かう。

だが、眠気に勝てなかったのかみんなが盛り上がってる中競技場の隅に行って居眠りしようかとあるきはじめたNO NAMEの耳に入ったのは、

応援からでる声ではなく誰かの怒鳴り声。

「っ…」

小さく聞こえた叫び声は、同じ寮のネビルのものだった。

「!」

よく見ればネビルは殴られている、NO NAMEはよく目を見開けばその後ろでロンも誰かに胸ぐらを掴まれている。

NO NAMEの足が自然と動き出せば、自然と杖を握る腕が上がった。

心の中で思った、“今すぐその子から離れて”口に出していないはずだった

杖も構えるつもりなどなかったはずなのに

NO NAMEの杖から飛んだ白い光はネビルを殴る二人組の男を吹き飛ばした。

「あれ…?」

わたし今呪文言ったっけ?という感情がNO NAMEを包んだが、吹き飛ばされた男もネビルもロンの胸ぐらを掴む男の子もこっちを見ていた。

「NO NAME?!」

ロンの声がNO NAMEの瞳を瞬きさせる。

「あ…だ、大丈夫?」

ネビルに戸惑いながらも手を差しのべるが、それをロンの胸ぐらを掴んでいた男の子がNO NAMEとネビルの間に入って阻んだ。

金髪のオールバック、NO NAMEの視線がその男の瞳をゆっくりと見る、一瞬戸惑った男だったが、口を開いた。

「邪魔するな」

「…友達なのにほっとけないよ」

「うるさいブス!」

失礼な奴だな、とNO NAMEは思ったがまぁ慣れているので、気にしない様子だった。

「私ブスだからいいですけどー…貴方に命令なんかされたくない」

「お前、偉そうに!」

突然金髪の男の後ろから飛び込んできた先ほどネビルを殴っていた男が手を振り上げた。

「ちょ、待…」

金髪の男の声も届かずにその拳は真っ直ぐNO NAMEの頬にあたった。

「っ…」

地面に尻をつけたNO NAME、ロンとネビルが立ち上がった。

「なにするんだよ女の子に!」

「ぼ、僕が殴ったんじゃないぞ!」

NO NAMEは息を吐き出すと、立ち上がって金髪の子を見た。

赤くなっているNO NAMEの頬、

「NO NAME?!大丈夫かい?!」

「うん、」

駆け寄ってきたロンに笑いかけたが、ロンの顔は晴れなかった。

「お前ら、行くぞっ…」

金髪の男の子は一瞬顔を歪めて、すぐに立ち去ってしまった。その後を追うように二人の生徒も去っていく。

「大丈夫?ネビル」

「う、うん…それよりNO NAMEは平気なの…?」

「大丈夫!」

だが決してロンの表情は歪んだまま治らなかった。

「(あの金髪の子、どっかで会ったな…)」




 

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