欲は自らを縛る 2/6 「あー眠い、すごく眠いなあ」 図書室でねたいところだけど、監督生のパーシーに見つかったら怒られるな。 ま、いいか。 単純な考えで図書室で居眠りをすることを決めた。 いつもの席につくと、心地よい太陽の光に打たれながら、 瞳を閉じようとすると、目の前の席に誰かが座ってきた。 それにぎょっとして閉じかけた瞳を開ける。 「やあ、NO NAME」 「パーシー…、眠ろうとしていたわけじゃないのよ、うん」 それにパーシーは苦笑すると、口を開いた。 「ばっちり見てたさ、大丈夫。僕が来てあげたから君はここで勉強することになる」 「嘘でしょう?!せっかくの休み時間よ…」 「僕が監督生だってこと、忘れずにね」 悪戯っぽい微笑みを浮かべたパーシーにため息をついた。 しょうがない、自分が悪いのだから。 もしここに彼の弟が出合わせていたらもっと嫌ことになっているよ。きっと。 教科書を広げると、パーシーが思い出したかのように口を開いた。 「そういえば、うちの双子達とはどうだい?」 「どう、と言いますと…?」 「いや、あいつら君のこと気に入ってるみたいだから」 「…や、あれは私をからかって面白がっているんですよ」 「それを気に入ってる、というのさ」 それに納得できない顔でいると、パーシーは少し複雑そうな顔をした。 「もうすぐハロウィンだろう?君もきっとその日は大変だぞ」 なぜ?と聞く前に、答えが自分の中に浮かび上がった。 そうだ、あのいたずら好きな奴らのことだ。 とびっきりのことをしてくるに違いない。 「それは……そうですね、うちの兄より嫌です」 「兄っていうと、ルージーかランディーかのどっちかかい?」 「いえ、どっちもですよ」 歪んだ顔をすると、ふいに見知った声が近くから聞こえた。 「俺がなんだって?」 「なんてタイミングの悪い…」 「ランディー、君もこの時間は休みかい?」 隣の席に座ってきたのはランディーだった。 ランもこの時間は休みのようで暇をしているようだった。 「ハロウィンの話よ」 「ああ!去年は笑いすぎて腹が割れそうだったよ!!今年はなにに…」 「やめてくれない?ほんとに。」 「え、なんで?」 「ねぇパーシーからも言ってください!もう大人なのに私に悪戯するんですよこの人!」 それにパーシーは微笑ましい笑みを浮かべた。 自分も弟たちには悪戯されるが、この兄弟はもっと柔らかい関係があるようで。 なんだか微笑ましくなった。 [しおりを挟む] |