如月の華 | ナノ



グリフィンドールの少女
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「それでさぁーハーマイオニーったら偉そうにしちゃってさ、だから友達ができないんだよ」

呆れたように離すロンを通り越したのは、

紛れもないハーマイオニーの姿。

「…聞こえたかな?」

「さぁ…?」

「おいおい、弟よ。ハーマイオニーには一人の友達がいるじゃないか?」

「はぁ?誰?」

いきなり話しかけてきた双子の兄に、

顔を歪ませながら、

ハーマイオニーといつも一緒にいる人物を思い出すが、

いくら捻ってもなんだかお追い出せない。

「いたような、いなかったような。」

「あ、NO NAME・フェアリーじゃないかな」

「あれ?そんな子いた?」

「おいおい侵害だなぁ、俺たちのおもちゃの事を知らないなんて…」

ため息をついて双子に、

なんだかその子の事を可哀想だと思ってしまった。

フレッドとジョージのおもちゃなんて…

それだけ不運な子なんだろう…。


「でも、顔が思い出せないんだよねぇ」

「僕もだよ、」

ハリーも考えたが、ちっとも分からない。

どうしてNO NAME・フェアリーについて、知らないんだろう。

「おっと、NO NAMEにはあんまり話しかけるなよ?俺たちの常識をきっちり教えてやるんだから」

「へ、へェ……」

詳しく聞いたら、図書室でいつも寝ているということ。

成績は普通で、飛行術は大の苦手。

んで兄がどうたらかんたら…。

うーん、覚えてない。

「ハリー、その子を見かけたら教えてね」

「あ、うん」

談話室へと二人で戻ってくると、

一羽のふくろうがパタパタと飛んでいる。

口には白い手紙。

「あれ?君のふくろうじゃない?あの白いの」

「んー…なんか違う気がする。」

ふくろうはソファに止まったので、

近づいて手を差しのべると、

素早く嘴を前に出されて、噛まれた。

「い、たああァ!」

「僕も噛まれた!僕のふくろうじゃないよ!それに目の色だってなんか違う!」

じゃあ、誰のふくろうなんだろう。

綺麗なふくろうだな…上級生の人の…?

ふくろうを眺めていると、

不意にまた飛び立つと、女子寮の階段のほうへ向かった。

パタパタと階段から落ちてきた人物の肩に止まって、

可愛らしく鳴く。


「あれ、」


見たことあるような、ないような子だった。

いや、グリフィンドールなんだろうけど。

少女は手紙を受け取ると、

こちらを見た。

「あ…こんばんわ」

「「こんばんわ…」」

聞き慣れない声だった。

声のトーンは丁度いい。

容姿もいたって普通、

でも何かが当てはまらない。

「…ハリー…こんな子いた?」

「うーん…」

小声でハリーに話しかけると、

ハリーも眉を寄せた表情だった。

「あのォー失礼だけど……君の名前は?」

「え?あぁ……NO NAME・フェアリー…で、す」

かなり、失礼な事を聞いたのは分かってる。

彼女の表情もひきつってきた。

でもそんなことより今は彼女が誰なのか知りたかった。


NO NAME・フェアリー


そう答えた彼女。


全てが当てはまったようなきがした。







 

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