こうして僕らは傷つけ合う | ナノ

0201
1/3


暗い医療室の中、カチャカチャと脱脂綿を濡らした消毒液を取り出せば、傷跡をゆっくりとなぞる

しびれるような感覚、小さな電流が体中に流れてでもいるかのように痛む腕を抑えながら

顔を歪ませる。

真っ赤に触れた右頬がぴくぴくと動けば、扉がゆっくりと開く。

そこに姿を表したのは、愉快な表情を浮かべたダリルの姿だった。

「だから言っただろ?僕のことを無視するからだ」

あざ笑うダリルに視線も向けないで、NO NAMEは黙々と作業を続けた、

先ほど嘘界に殴られた頬が痛む、じんじんと腫れていくのがわかる。

ダリルの唇が塞がれると、眉がゆっくりと寄り始める。

傍にあった薬の入ったビンをダリルは掴むと、NO NAMEの頭目掛けて投げる

鈍い音をたててNO NAMEの頭にぶつかったビンは地面へ落ちると、中に入っていた薬が散らばる。

NO NAMEの目の前へと歩み寄ったダリルは歪んだ顔でNO NAMEを見た。

「僕を無視するな」

「構って欲しいの?」

やっと口を開いたNO NAMEは小さく囁く

「はぁ?そんなわけないだろ」

「じゃあ私のことはほっといてよ」

ダリルの唇は釣りあがると、小さく笑顔を浮かべる。

「お前さ、馬鹿すぎて面白いんだよ」

ダリルの言葉に答えることなく腕に包帯をまきはじめたNO NAME

「人をもっと殺せばいいだけなのに、お前は全然殺さないし」

「私の勝手でしょ」

「命令違反だろ、何度僕に傷つけられたって全然変わんないしね」

笑い声をあげたダリルはNO NAMEを見て、小さく息を吐き出した。

「そんなに人を殺したくないならお前が死ねばいいんだよ」

ダリルはその言葉を残すと、医療室から姿を消した

一人残った暗い部屋の中に散らばる薬を拾ってNO NAMEは瞳を閉じた、






   

[しおりを挟む]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -