こうして僕らは傷つけ合う | ナノ

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「どう、腫れはひいたかい?」

「うん、大丈夫」

オペレーターの集う部屋の中、隅っこにいたNO NAMEにローワンは話しかける

頬を見て、柔らかく笑うと、途端に瞳を細めた

「本当にひどいよ…毎回止めることができなくて、すまない」

「気にしないで、貴方はそのままでいい」

嘘界に殴られたり叩かれたりすることには慣れている、でもそれを見ている者達は毎回慣れないであろう

嘘界の隣で顔を曇らして、その行為を見ているローワンはいつも声をかけてくれる

ありがたいが、自分に関わらないで欲しいとも思った

「さぁ、時間だ…」

ローワンがそう言うと同時にNO NAMEは部屋を出て、車に乗り込んんだ。

向かうは任務場所。今日も人を殺さなくてはならない

胸から刀を取り出すと、毎回慣れない感覚が全身を覆った。

「っ……」

こっちに近づいてくる人間たちの声がする、それに変な感覚も一緒に。

「…、」

やってきたのは一人の青年だった、その手にあるのははさみ型のヴォイド

変な感覚はこれのせいか。

「君の…持っているものは…」

「これはヴォイドじゃない、かといって普通の刀でもないんだけどね」

この青年を殺したら、あとはもう誰も殺さないで済むだろうか

刀を持ち帰ると、軽くふってみせる

「どいてくれ、君とは戦いたくないんだ」

「戦う?君に、そんなことができるの?」

青年は唇を噛み締めると、強く瞳を開いた。

見覚えがある、その瞳に…誰かに、似ていたような気がした

「君なら私を殺せるかも」

「…、」

「どいてほしいなら、私を殺して」

ヴォイドをもったまま瞳を見開いた彼は息を飲み込む

その時、後ろからエンドレイブの音がした

「どけェ!!!!」

ダリルの声だ、横によけると、真っ直ぐ青年の元へ向かっていくダリルのエンドレイヴ

だが、いつもと様子が違って見える、声もなんだか震えているような気がして


なんだか違う










   

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