こうして僕らは傷つけ合う | ナノ
02022/3
「人に情でも湧いたのか?」
「さぁ、どうだろう」
NO NAMEの持っている緑色に光る刀を持ちながら、茎道は刀を眺める
その様子を見つめながら、NO NAMEは静かに自分の腕に繋がれている液体の流れるチューブに視線をうつす
「…すごく気持ち悪い」
何か別のものが身体の中に入って、血と共にながれていく
とても気持ち悪い感覚がさっきからぐるぐると頭の中で回っていた
「我慢しろ、毎回やってるだろ」
「毎回嫌なの」
本当に嫌な気分だ、自分の体で研究され、結果を求められる
どうして、どうして自分は選ばれたんだ
茎道が差し出した刀を受け取って、自分の身体の胸に押し付けた
痛みを感じることはない、まるで身体の一部だったかのように身体の中に戻っていく刀
「やはり自分以外からは取り出せないか」
「……まぁ、」
これは王の力ではない、まったく別の力。
ヴォイドを取り出すことも、使うこともできない、じゃあこの刀はなんだ
毎回不思議に思ってはいるが、自分自身自然と取り出せていたもの。
「お前は分かっているだろう、その力を」
分かっている、自分以外知らない力、だからこそ人間には利用させたくはない
人の心を利用した、未知の力。
← →
[しおりを挟む]