こうして僕らは傷つけ合う | ナノ
01033/4
「俺はお前を欲しいと思っている」
NO NAMEの銀色の髪を風が揺らす、その後ろ姿を見つめて言葉を発したのは
葬儀社のリーダーである、涯だった。
NO NAMEは振り向かずに、ただ男の亡骸を眺めている、そんなNO NAMEに涯は近づくとまた言葉を囁いた。
「聞こえているだろう」
ゆっくりと、耳元で囁かれた言葉、
それはしっかりとNO NAMEに届いた。
不愉快そうな顔でNO NAMEは涯を見ると、眉を寄せる。
「嘘つかないで、そうゆうのすごく嫌い」
NO NAMEの歪んだ表情に唇を釣り上げた涯は小さく笑う
「……離れて、貴方を殺さないといけない」
「お前は俺を殺せないよ」
NO NAMEの瞳が細まると持っていた刀を強く握って、涯へと差し向ける
だが涯の表情は変わらぬまま、笑みだけがNO NAMEを覗いていた。
美しいブロンドの髪が揺れて、後ろへ引いたりしない涯に対してNO NAMEは苛立つ胸を押さえつける
「……老け顔」
「今のは聞かなかったことにしてやる」
嫌味を口にしたNO NAMEに浦賀あるような笑顔をみせた涯の後ろから一体のエンドレイヴが近づいてくる
それはNO NAMEにとっても涯にとっても見慣れたエンドレイヴだった
涯は手を小さく振り上げて笑うと、NO NAMEの横を走り去っていく。
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