壊したくて泣きたくて | ナノ

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「NO NAME見て!こんなに綺麗な花見つけた!!」

「本当だ!綺麗だね」

「でもね!あの教会に咲いてる花の方がもっと綺麗なんだよ」

マリンと一緒にこっちの世界を見てまわろうと、散歩に出かけたとき。マリンは持ってきた花を眺めながら、綺麗だと思う。だが教会という単語で、私が落ちてきたところのことを思い出す。綺麗な花々が咲いていた。天井には穴があいていて・・・すごく神秘的な場所のように、見えた。

「じゃあ、教会に行ってみようか」

この世界は綺麗なところと極端に貧しい人が暮らすところがある。私の世界でも外国ではそんな人もいただろうけど・・・この世界では大きな戦いがあったと聞いた。そのせいで人がたくさん死んだと。クラウドが自分のせいで死んでしまったと言っている人たちは、その戦いに関係しているのかもしれない

たどり着いた教会にマリンが駆け込むと、花々たちをマリンは嬉しそうに眺めた

「お姉ちゃんの花なんだ」

「お姉ちゃん・・・?」

「エアリスお姉ちゃん!」

その名前に心臓が跳ねた。エアリスさん、マリンを助けてくれたり、よくしてくれた人だそうだ。この花はエアリスさんが育てていた大切な花、すごく綺麗な花だ。外見だけじゃない。強く咲き誇っていると思う。

「・・・・・・、そっか」

なんだが胸が傷んだ。どうしてだろう、クラウドの大切な人がもう死んでしまったと思うと、なんだか辛い。彼は・・・それをずっと抱えているから。少しでも、彼を楽にはできないだろうか、

「ティファさんが心配しないうちに戻ろうか」

「うん!!」

教会を出て、セブンスヘブンへと戻る道の中、道の端に固まっていた何人かの男達の視線を感じた。嫌な予感がしたので、早足でマリンを連れて歩いたが、先回りされていたのか前からその男のひとりが出てきて、怪しげな笑顔を浮かべた。

「マリン、逃げて」

「NO NAMEを置いていけないよ!」

「いいから!」

私の声に後を押されたのかマリンはおずおずと走っていった。何度も振り返ったけれど、それに笑顔を向けるとあっというまに男達数人に囲まれる。正直、すごく怖い。その世界でもこうゆう柄の悪い人たちのすることは大体分かる。だから、ぞっとするのだ。逃げられるかな。

「ちょっと俺らの相手してくれるか」

「・・・、」

相手なんかするはずない。でもとても逃げられる状況なんかじゃない。顔を下に向けていると、ふいに自分の腕をひかれた。

「やめ・・・え、クラウド」

振りはらおうとしたとき、自分をひいた人物を見て、目を見開く。なんで、クラウドが。男達をかき分けて、クラウドは私を自分の後ろに引っ張ると、クラウドは男達に視線を向けた。

「おい、こいつ・・・」

クラウドを見るなりそそくさ逃げていった男達、クラウドはそれを確認すると、私を見下ろした。

「ありがとう・・・」

視線がなんだか痛い、何を考えているかわからないような表情で。クラウドに最初に会ったときのような表情によく、似ている。当たり前だ・・・今では、私と彼は・・・他人、なのだから。ちくりと傷んだ胸を押さえつけて、唇を釣り上げた。

「マリンを知らない?ちゃんと帰ったかどうか心配で」

「・・・マリンは心配いらない、あんたを助けてくれって俺にいいにきたからな」

「そ、それは・・・すいませんでした、ご迷惑をかけて」

すごく、接しづらい。なんだろう、だんだん気分が下がっていく。落ち込んでいく自分がいる、やだな・・・。勝手に落ち込んでるだけなのに、彼は・・・悪くないのに。

「聞きたいことがある」

「・・・なに?」

「俺はいつ・・・あんたに会った?」

ずっと会いたかったはずなのに、状況は最悪すぎて、ズキズキといたんでいくばかりだ。でも、そんなのは彼に会えなかった日々に比べればどうってことなはずなのに、どうしても笑顔が固くなっていまう。接しづらくなる。もう、どうして

「いつだったっただろうね・・・なんだか遠い昔のような気が・・・するよ」

だって貴方は、私のことを覚えてない




   

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