壊したくて泣きたくて | ナノ
12011/2
「そろそろ休んだら?」
セブンスへブンのカウンター越しにティファに声をかけられ、顔を上げる
「ずーっとその資料見つめて、どうしたのよ」
「別に…」
目の前に散らばった資料を片付けなければならないのに、まったくそれは進んでいはいなかった
ただ見つめていただけで、何もやっていない
ティファは呆れたように息を吐き出すと、目線はクラウドの耳元にいった
「ピアスどうしたの?」
その言葉に目を見開いて、クラウドは右手で左耳を覆った、
そこには確かにあったはずのピアスがない。どうして、と思うほどなんだか頭が痛くなった。
「無くしたの?」
「そうかもしれない、」
「もったいない、あれかっこよかったのに」
無くしたのだろうか、あのピアスを。
どこで、どうやって、なんだか気になって仕方がない。
「…今日はもう寝るよ」
「うん、おやすみ」
クラウドは資料をまとめると、カウンター席を立ち上がる。セブンスへブンの階段を上がれば、ある自分の部屋へと足を進めれば、ベットに倒れ込んだ。
一昨日、目が覚めたとき、何かが変わっているような気がした。
どうしようもなく重かった心と、この世界から逃げたかった想いがすっかりなくなっていた
軽くなった身体、なのに、無くしたものはまだあるかのように何かがひっかかていた
「思い出せない」
それが何かが思い出せない。
頭の奥が傷んで、脳内が散らかせれるように、わけがわからなくなる
「……」
もう一度。左耳を右手で覆う、そして静かに瞳を閉じた。
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