壊したくて泣きたくて | ナノ

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「クラウドにネズミーランドは似合わないよね」

ゆらゆらと電車に揺られながら、隣に座るクラウドを眺めて、くすくすと笑う。

顔を下げていたクラウドはゆっくりと顔を上げると、歪んだ顔を見せて、それはなんだと言うばかりの視線を向ける

それに答えるようにNO NAMEは笑いながら、静かに答えた

「夢の国みたいな所、アトラクションとかがいっぱいあって」

「ゴールドソーサーみたいな所か…」

クラウドは静かに囁くと、気持ち悪そうに瞳を細めて今度は顔を上に上げさせ後ろにもたれかかる。

「本当に辛そうだね、大丈夫?じゃないよね…確かバイクとか乗れるとか言ってなかった?」

「自分で運転するぶんにはいいんだ、でもこれは…違うだろ」

「うん、違うね」

NO NAMEは面白そうにクラウドを眺めて、柔らかな笑みを浮かべる

その表情にクラウドは面白くなさそうに息を吐き捨てた

「何がおかしいんだ」

「え、だっていっつもツンツンクラウド君が、電車酔いってさ…ふ、」

「誰にだって弱点はあるだろ」

「うん、そうだね…ごめん」

クラウドは細まった瞳のまま、NO NAMEを見てまた、瞳を閉じた。

「あ、残念もっと酔ったクラウド君を見ていたかったけれど…もう降りるよ」

同時に電車の中から次の駅のアナウンスが聞こえてくる

数秒して電車は止まると、NO NAMEは立ち上がった。

「ほら立って!しまっちゃうよ!」

「…ちょっとだけ、待ってくれ」

電車は止まったが、やはり気持ち悪いらしく中々動こうとしないクラウドの腕を掴んで無理やり立たせたNO NAMEは、クラウドを電車から下ろさせる

「ちょっと待ってて」

クラウドを駅の前のベンチに座らせて、どこかに走っていったNO NAMEの背中をぼんやりと見つめながら、瞳を細める。

「(人が多いな)」

俺の世界でも人は多かったが、こちらも負けてはいないとクラウドは思った、まだ頭の仲がぐるぐると回ってはっきりしない意識だが、

自分の世界と比べてなんだか人々が眩しく感じる。

途次かけようとした瞳が頬に感じた冷たい感覚で開く。

「はい!スッキリすると思う」

「…ああ、すまない」

現れたNO NAMEが手に持っていた冷たい飲み物を飲み込めば、口の中でレモンの酸味が広がる、でもそれが本当にすっきりする。

今の自分の体にはぴったりだ、とクラウドは息を吸い込んではっきりしてきた視界を更に広くする。

「どう?大丈夫?」

はっきりした視界に柔らかな笑顔を向けたNO NAMEがうつる、

「(ぼんやりするな)」

やっとはっきりしたのに、なんだかまたぼんやりしてきた、とクラウドは思い、もう一口飲み物を口に運ぶ。

「まだ怒ってるの?ごめんって、許してよクラウド」

「…怒ってないから、安心しろ」

「偉そうに!」

笑いながらNO NAMEは立ち上がると、笑みを向けた

「じゃあ行くよっ」



   

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