壊したくて泣きたくて | ナノ
08011/2
「…ッ」
昨日の夜のことを思い出すだけで、胸が高鳴る。
抱きしめられた、あの大きな身体に。
彼は優しいから、
NO NAMEは朝のコーヒーを飲みながら、テレビの音を聞いていた。
どうして、自分が泣いているのか。
分かってしまったから、すごくまた胸が傷んだ。
どうやったって、涙が止まりそうにない。
だからこそNO NAMEは部屋を立ち去ろうとした。
その後のことを思い出すと、胸が高鳴るけれど、期待なんかしてはいけない。
彼は優しいから、抱きしめてくれた。
クラウドには“エアリス”がいるんだ。
「おはよう」
「!」
思わず持っていたコーヒーを落としそうになった、
クラウドだった。NO NAMEの後ろから顔を出して、NO NAMEを見つめる。
「大丈夫か…?」
「…う、ん、ごめん」
「なら、いい」
クラウドは小さく笑うと、お馴染みのソファの上に腰掛けた。
「じゃあ朝食作るね」
今日は休みの日だから、どこかに出かけたい。
クラウドに色んなものを見せてあげたい。
この世界のいろんなことを知ってもらって、楽しんでもらいたいな。
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