壊したくて泣きたくて | ナノ

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「えっ?!秋真と別れた?!」

「なんでよ!」

目の前で驚きをかくせない、と言った顔で私を見る友達に苦笑いをする。

理由は言わなかった。

友達はもったいない、と言っていたけど、今はもう大丈夫。

「それじゃあまた明日ね」

駅のホームで友達に別れを告げると、そのまま歩き出す。

そういえば、クラウドはずっと家の中にいるな…

散歩でもしようか、色々一人で外にも出歩けそうだし。

でもクラウドの世界は色々危険だったらしいよね、モンスターが出るってきいたし…

そんな所でよく生きていけたなあ…

なんだかんだ考えているともう家の前に来ていた。

「ただいま」

リビングへ進むとすっかり家に慣れたクラウドがソファに座っていた。

なんだかしっくりくる絵だと思う。

こんなハンサムな男の子家にいたら普通もっとキャピキャピしちゃうよね…

「おかえり」

テレビを見ていたクラウドがふとこっちに振り返る。

「ね、クラウド、散歩いこうよ!もっと遠くに行ってみよう」

「遠くに?」

「うん」

笑顔でそう言いながら、クラウドの隣に座ると、置いてあった雑誌をガサゴソと探って開く。

観光やら、ディズニーやらの情報が乗っている。

「どこに、行きたい?」

クラウドは雑誌をじっと見ていたが、少し笑うと私を見た。

「いや、いい…あんたに迷惑かけるからな」

「迷惑とかじゃないよ、せっかくこの世界に来てもらったんだから楽しんでほしくて」

「それでも遠くにいかなくていい、ここの周辺で十分だ」

クラウドは柔らかく笑ったが、心ではわらっていない気がした。

彼は壁を解いてはくれない、私もそうだったように

でも彼は壁を壊す方法を教えてくれたような気がした。

なら私は、抱えているものを、壁を壊せるだろうか…。














   

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