壊したくて泣きたくて | ナノ

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「いらっしゃいませ」

声が少し裏返ったかもしれない、どうしよう。変に思われた、絶対そうだ。

マイナス思考の考えが自分に詰め寄る。

どうしたってこうゆう考えは頭から離れてくれない。

「仏頂面は絶対しちゃいけないことだって教えなかった?」

横から聞こえるのは店長の声だった。

その言葉があまりに冷たく聞こえてしまって、一生懸命笑っていた。

そう思っていた自分がバカみたいに思えてくる。

でもそんな中からそれを否定するように割り込むのは悪い心。

「(なにそれ、私自分なりに笑っているのに)」

偉そうなことを思っていても行動できない。ここまで一生権こなしてきたのに。

「チョコクレープ一つですね、はい。」

教えてもらったことをやっているはずなのに、どうみたって私は惨めにしか見えない。

オロオロしてるのだってきっとバレてる。

「ありがとうございました」

そこでやっと息を付けた、が反省点は自分でも分かっている。

でもうまくできないのだ。私は人と話すことが苦手、なはずなのになんでわざわざこの接客業を選んだんだろうか。

「まぁしょうがないよね」

「…はい、すいません。」

入ってまだ二日。普通ならこなせる仕事じゃないのは分かっている。

でもアイスの名前もクレープの名前も全部三時間で暗記した私に店長は期待していた。

私もそれに答えたいと思っていた。

でも思ったより接客という壁は高くて、厚くて、

突き放されたと思ったら、もう光なんか目指せなくなっていた。

それでも真剣に接客業を教えてくれる店長に感謝をしているはずなのに、

心の中で面倒くさい。そんなことを思っている自分がいた。

少しぐらい怒られただけのに、失敗しただけなのに。

すぐに相手を悪くみようとする。自分を守りたいから。

わかってるはずなのに、止められない。

あぁ、もう逃げたい。辞めてしまいたい。




まだだ、こうやって私は現実から目をそらすんだ。

   

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