壊したくて泣きたくて | ナノ

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よく行く公園のベンチに座って、携帯を開いた。

データフォルダの中の写真には友達ばかりで、彼氏との思い出の写真もない。

秋真はよく遊びに誘ってくれたけど、私が断ってばかりだった。

「…なんでだろう、」

彼はたくさん傷ついた、わかってたはずなのに、私は、また彼を傷つける。

「なんでもっとよく考えて、答えを出さなかったんだろう」

浮かれて、流されて、曖昧なままの気持ちを放置して。

なんにもうまくいかない。

クラウドにも当たってしまった。

どうして、どうして……。

作成していたお別れメールを削除すると、息を吐き出した。

ゆっくり、すって、はいて。

「…はぁ…馬鹿だな、」

こんな所で弱音なんかはいてられない、

前に進まなきゃいけない。

逃げちゃいけない。

ベンチを立ち上がると、家に帰ろうと道を歩み出す。

足が重いけど、ここで逃げたら…もっと自分が嫌いになる。

もう戻れなくなると思うから、頑張らなきゃ。

家にたどり着いて、玄関を開こうと手を差し出そうとしたら、玄関が自動的に開く。

「っ…!」

驚いて、一歩後ろに下がると、中から金髪の頭が見えた。

「…あ、クラウド」

どうやら彼は外に出ようとしたみたいだった。

よかった、ぶつからなくて。

「どうしたの?」

「…あんたを、探しに行こうと」

クラウドの青い瞳がこちらにむいた瞬間、今すぐここから逃げたい気持ちになる。

でも、逸らしちゃいけないんだよね。

「クラウド…ごめんね、」

小さな声だったが、クラウドはふっと笑うと瞳を細めた。

「俺もすまない、出過ぎたことを言った」

「ううん、本当のことだから」

二人で家の中に上がると、私はソファに座って息を吐き出した。

良かった、ちゃんといえた。

これで少しは前に進めたから。

ううん、まだだ。

「ねぇクラウド」

クラウドは答えなかったが、隣に座ってしっかりと目線を向けてくれた。

すこし微笑むと、私をクラウドと向き治る。

自分の壁を、壊さなきゃ。

「私ね、自分で頑張ってなかったと思うの…秋真を好きになれるように努力したい」

クラウドは頬を緩めた。

心臓が、揺らぐ。こんな笑顔みたことなかったから、鼓動が早くなっていく。

「うん」

彼はそれ以上なにも言うことはなかったけど、笑顔を見せてくれた。

何かがガラガラと崩れていくような気がしたのに、

妙に嬉しい気持ちが、ある。







   

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