壊したくて泣きたくて | ナノ
02022/4
「う、うわぁ……」
「服も俺の世界と似てるな」
「そ、そうなんだ。だから着こなせるんだね…」
家にあった兄の服をかっぱらいクラウドに着せてみると、
これまた綺麗に着こなしてしまった。
イケメンだけどとりいっそうイケメンになった気がする。
こんな人と隣を歩いてたら逆に自分が恥ずかしいよ。
「じゃ、行こうか」
近くのデパートに向かって歩き始めた。
着くまでにクラウドは外の様々な景色を見つめていた。
だけど時々切ない表情をした。
人の深い所に手を出すのはよくない、そう思ったから何も聞かないでいた。
聞く言葉も見当たらないから。
「ここがデパートで、まずは服から!」
メンズの服で私的にクラウドに似合うような店に案内すると、
クラウドもその服達には顔を歪めなかった。
「はいこれお金」
「…好きに買っていいのか?」
「うん、私といないほうが選びやすいでしょ?ばっちり買ってきてよね」
生活用品をそろえるのだから女の私といると気まずいだろうから
私は落ち合う場所を決めて、歯ブラシなどを買うことにした。
「おお、安い…」
「あれNO NAMEじゃん」
聞き覚えのある声に思わず振り向くとそこには自分の友達がいた。
二人の友達はこっちに手を振りながら近づいてきた。
「なになに?買い物?」
「うん、そう。」
「そっか!私たちもショッピング〜!てかね、さっきカッコイイ人見つけちゃった。」
その瞬間に頭に浮かんだのはクラウドの顔だった。
目立つからなあ、あの金髪は。地毛だったらすごいわ。
「へーえ、どんな人?」
「外国人なんだろうけど、金髪でかっこよかった!」
クラウドだ、ああやっぱり。
この状況じゃ自分の連れです。なんて言えないなあ
だから軽く聞き流した。
こっそりクラウドと落ち合って帰らないと…。
「あ、最近どう?秋真と」
「あ〜何もないよ」
「あんたのせいでしょ!!!」
数分しゃべると、友だちと別れてまた買い物を続けた。
そしてあっというまに時間がきてたいていのものは買ったので、
荷物を抱えて落ち合う場所に向かった。
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