壊したくて泣きたくて | ナノ

0104
4/4



「邪魔をした」

そう言って部屋を出ていこうとする青年だったが、

私はとっさに手を伸ばしていた。

「ま、待ってくだい、貴方、行くところないんじゃ…」

「そうだかいつまでもここにいるわけにはいかない。自分で探す」

この世界はきっとそこまで甘くないような気がする。

しかも大剣なんか持ってる人が出歩いたらどうなるかしれている。

息をゆっくりと吐くと、彼に向かって口を開いた。

「ここに、いますか…?」

それに言葉をしばらく発することをしなかった彼を見て、

思わず自分の瞳を見開いた。

「(え、変なこと言った…?)」

「この家にあんた以外は住んでいるのか?」

「いえ、私だけです」

「なら、なおさらだめだろう。」

息を吐いた彼を見て、顔が赤くなるのがわかる。

「…いや、大丈夫ですよ、ね」

「俺に聞くな」

「大丈夫です、それに困っている人をほっとけないんで」

「…わかった、世話になる。」

しっかりとそう言葉を発した彼に微笑んだ。

そして今日からこの広い家に、ひとつの花が咲いたように思えた。

   

[しおりを挟む]
  back
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -