壊したくて泣きたくて | ナノ
10022/4
クラウドが連れてきた場所は公園の屋根のあるベンチ、そこに二人で座る。
「これ以上濡れるわけにはいかないだろ」
「そう、だね」
苦笑いしながら、少し濡れた身体をタオルで吹いていく。
なんだか、少し寒い。
「NO NAME」
「なに?」
「俺の話し、聞いてくれるか?」
「もちろん」
エアリスの名前が切ないのは変わらない、でも、そんなのは関係ない
クラウドが少しでも楽になれるのなら、なんだってしよう
彼が壁を壊してくれるのなら。
「俺のせいで二人の大事な人が死んだんだ、親友のザックスと…エアリス」
クラウドの世界は戦いが盛んだと聞いている、魔法なんかが使える世界だと
やはりこの世界と違う、常に危険と隣り合わせの、生活。
「本当に俺のせいなんだ、俺はその罪を一生背負っていくと決めていたのに…自分に弱くなる」
「でもクラウドは頑張ってる、頑張ってるよ!!!」
自然と出た言葉に、クラウドは目を丸くする。
同時に吹き出したクラウドは小さく笑みを作って、笑ってみせた。
その仕草に心臓がうるさい、なんてかっこいい笑顔なんだ。
「ありがとな、NO NAME」
自分の素をクラウドが見せてくれたような気がして。
また胸が浮かれてしまう。
もうどうしようもない、どうしようもなく彼に恋している。
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