壊したくて泣きたくて | ナノ

0703
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ザックス、エアリス――


俺のせいで二人は死んだ――


その映像が何度もフラッシュバックして、頭から消えない。

この世界から逃げたい、

逃げたい、

逃げても、何も変わらないのに。

俺は一生背負って生きていかなければならないのに。


ああ、重い…苦しい…、


クラウドの重い瞼が開くと、暗い天井をうつした。

まだ見慣れない天井、違う世界の家の、俺のものではない部屋の天井。

息を吐いたが、人の気配にすぐ身体を起き上がらせた。

でもこの世界に不審者など少ないと聞いている、人の命を狙うやつも滅多にいない。

だとすれば、この人の気配はこの家の持ち主のNO NAMEだけだと、

クラウドは横に視線を向けた。


「…NO NAME?」


思った通りの姿がそこにはあった、だが違う。

いつものように笑っているのではない、瞳にためた涙をポロポロと落として、

瞬きするNO NAME。

クラウドの鼓動が少しずつ、早くなる。


「どうしたんだ…?」

「…う、ん…ごめん、なんでもない」

どうしてここにいるのか、なんてどうでも良かった。

今は、その涙の理由が聞きたい。

静かな部屋の中を立ち去ろうとするNO NAMEの腕を掴めば、NO NAMEの動きが止まる。

小さな背中がいつもよりずっと小さく見える、震えているのだろうか。

クラウドの瞳は細まると、腕を掴みながらベットから抜け出して、NO NAMEの背後に立った。

「…あいつのこと、思い出したのか?」

つい最近別れたばかりの、NO NAMEの好きだった相手。

その時、ひどく何かが痛む。

ふるふる、と頭を振ったNO NAMEの後ろ姿を、見つめてクラウドはまた小さく口を開いた。

「俺のせいか?」

「そんなの…あるわけないじゃん…」

「じゃあ、なんであんたは…泣いてる」

何も答えないNO NAMEの腕を離せば、胸が傷んだ。

どうして苦しんでる…?

どうして…泣いてる…?

自然に伸びた手は、NO NAMEの身体を引き寄せた。








   

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