壊したくて泣きたくて | ナノ

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追いかけようと思った。

家から出ていくNO NAMEの姿を見つめたまま、動かない足。

俺が悪いんだ、何も知らないくせに、出過ぎたことを言うから。

俺こそ、彼女を傷つけている。

「……、」

気力がない、今は生きている感覚がしない。

俺はどうしてこの世界に来た?

確かに逃げたかった、あの世界から、でも本当はこんな俺に罰を与えて欲しくて

現実を受け入れるのが、あまりにも辛くて。

罪悪感が身体の中から溢れ出して、もう何も考えることができなかったのに。

俺はこの世界に来た。


何も知らないのに、俺を受け入れてくれた彼女も傷つけて。

――最低だ、俺は人を傷つけることしかできない。

彼女もまた、同じことを思っているのだろうか。

だったら、俺は彼女に傷つけられても構わない…。

「…くそ、」

何を考えているんだ、俺は今NO NAMEを傷つけた。

くだらないことを考えているくらいなら、追いかけろ。

ソファから立ち上がると玄関のドアを開けた、その時、NO NAMEはいた。

戻ってきたんだ。


NO NAMEは俺に謝った、

何かが胸を傷つけた、俺は…?

「すまない」

なんて言葉じゃ足りないだろ、俺はもっとあんたを傷つけたはずだ。

でも、彼女は十分そうに笑う。

「ねえクラウド」

俺に問いかけたNO NAMEの表情は、何かを決意しているかのようだった。

胸が疼く。

「秋真を好きになれるように努力したい」

そう言って、なんだか嬉しそうに笑うNO NAMEを見て、

自分の中にあった何かが抜けていくような気がした。

俺は、自分から誰も受け入れないようにしていた。

でも、それが逃げることだったかもしれない。俺も変わらなくちゃいけない。

そうしたら、こんなに綺麗に笑うことができるのだろうか。



   

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