壊したくて泣きたくて | ナノ

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その言葉にクラウドの身体が少し動いた気がする。

少し細くなった瞳はこちらには向かないまま、テレビへも向かなかった。

どこか遠くをみつめているようで、彼の視線は冷たかった。

それは誰にも向けられないものであって、自分を責めているような視線。

「あんたはちゃんとそいつと向き合ったのか」

「え、」

「そいつの気持ちを考えたのか?」

「……そりゃ、考えたけど…」

クラウドの視線も向けられず放たれる言葉はズキズキと胸に突き刺さる。

分かっていた、

彼を傷つけることを。

でも、彼への気持ちがないままこの状態が続けば、もっと彼を傷つけるのではないかと

思って。

でも、結局は自分のためだったのかもしれない。

「あんたの勝手でそいつは傷つく。」

「…そんなの、わかってるよ…っ!!」

分かっている。でも放たれる言葉は理解している心に突き刺さって抜けない。

毒を盛られたように胸の中で黒くうずまき出す。

強い口調で出てしまった言葉にはっとすると、目線をクラウドから外した。

「ご、めん……」

彼は本当のことを言っているのに。

自分勝手なのは私なのに、

バカだ、何、人に当たってるんだろう。

分かっているけどわかってない。


人を傷つけてしまう。

だって、どんなに考えても良い方法が見つからなかったから。


そんな気持ちはただ自分が逃げたかったからかもしれない。



本当に臆病だ。


「ほんと、ごめん。」

すっと立ち上がると、散歩してくる。と言い残して家を出た。

瞳の奥から熱いものがこみ上げてきたが、必死にこらえた。

勝手に出てくるものは自分の気持ちを破裂させるから。



もう、やだ…。



結局自分は泣き虫で臆病で、卑怯者だ。

   

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