壊したくて泣きたくて | ナノ
03022/3
自分の放った言葉に冗談だろ、とでも言うかのようにクラウドは唖然とした。
「……あんた、もしかして遊びだったのか」
「…そんなわけないでしょ」
遊びで付き合うほど暇じゃないし、そんなことしない。
変な勘違いはやめて欲しい、でもクラウドが唖然とする意味はわかる。
別れるなんて軽々しく言えないし。
でも私には言えてしまうのだ。なんて自分勝手な言葉なんだろう。
嫌だな、自分で言って嫌な気分になっちゃったよ。
「…好きなんだろ、冗談はよせ」
「冗談じゃないよ、前から思ってたことなの。好きとか、なんか分からない」
確かにあったはずの気持ちがなくなってしまったような感覚。
いつから私はこうなったんだっけ。
こんなにもやもやするのら別れた方がいい。
「なら付き合う前に気づけ、遅いだろ」
「だから…最初はこんなんじゃなかったんだけど…あれ?最初から好きだったっけ?」
よくわからなくなってきた感情。
それにクラウドがありえない。と言ったのが聞こえた。
「まぁ、いいや。別れる。決めた」
今は自分が最低でいい。
こんなに曖昧なものは大嫌いで、はっきりさせたい。
手早く携帯を開くと、秋真宛てのメールを作成しだす。
「まさか、携帯で告げるつもりか」
「……今はこんな時代なんだよね、実は」
私もクラウドと同意見だ。大事な事は直接会って伝えるべき。
メールとか電話なんかじゃ伝えられない思いのはずだから。
でも、違う。告白された時だってメールだったし。
今の時代は生告白なんてみんなしないのだ。
それがみんな当たり前だと言うが、
私はそうは思わない、思わないくせに私もメールで別れを告げる。
「本当、最低だ私」
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