壊したくて泣きたくて | ナノ

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「必要なものは変えた?」

「ああ、」

家に帰って荷物を置けば、それを整理し始める。

「クラウドの部屋は昨日寝てもらった部屋で、あそこは好きに使っていいからね」

「すまない」

兄が前に使っていた部屋の方が使いやすいだろうと、

そこの部屋で寝てもらうことにした。

そのほうがタンスも色々揃っているし。

「じゃあ夕食にしようか、クラウドはお風呂入ってきなよ」

「分かった」

すっとお風呂場に行ったクラウドを見送って、自分は台所に立った。

そういえばクラウドって何歳…、若いのはわかるけど。

え、同い年ぐらい…いや年上かな。

年上だったらなんか年下のくせに私ってあれだなぁ…。

色々考えながら目の前のパスタに具材をいれかき混ぜていると、

ふいにケータイが揺れた。

マナーモードに設定してあるせいか揺れるケータイを取って、開けると

画面に表示された名前に思わず顔を歪めた。

「はい、もしもし?」

電話の向こうで聞こえる声はいまいちはっきりしない声。

どっちかっていうとクラウドの声が好きだな、と思う。

あの声なんだかしっくりきて、いい感じだから。

「何かあった?」

『いや、別に…』

じゃあなんで電話すんだろ、

そう思う気持ちを押さえ込んで息を吐いた。

「そ、っか」

『うん』

ガチャという音が響くとリビングのドアが空いた。

そしてゆっくりとリビングに足を踏み入れたクラウドの姿に目を見開いた。

昨日はお風呂入ったあとすぐ寝ちゃったけど、

あらためてみると、なんか色気あるなぁ

「…」

クラウドの濡れてもストレートにならない髪とか色々見つめていたら、

変な顔をされた。

「あ、ごめん」

『え、なに?』

クラウドに誤ったつもりだったが、自分がケータイで電話していることに

気付かなかった。

「なんでもない、ごめん」

『…そか、なんか忙しいみたいだから切るわ』

「うん、ごめん」

『じゃな』

そして切れた電話に閉じたケータイ、そしてため息を零した。

自分はこうゆうものが苦手なのだろうか。

そんなことはない。少女漫画だって大好きだ。

男の子と接し方がわからないわけでもないのに。

「あ、クラウド夕食できたよ」

恋、とかそうゆうものがなんだか苦手みたいだ。

私はみんなと違うみたいに、考え方がまるで違う、そう言ってるみたいに。

「さっきの電話、いいのか?」

「え?なんで?」

「いや、相手は男だろ」

「なんで分かったの?!」

会ってまもない私たちだが時々クラウドは超能力的な発言をする。

わからないことがわかったり。

「さぁな、あんたの男だろ」

「うん、まぁ…そうだけど」

パスタをテーブルに置くと、クラウドの瞳がこちらに向いた。

あいかわらず慣れないその目線に戸惑いつつも、しっかりと見つめ返してみる。

「あんた、そっけなさすぎじゃないか」

「え、秋真に?」

あ、ついつい相手の名前を口走ってしまった。

別にバレても構わないのだが、なんだか違和感を感じた。

「普通はあんな態度は取らない」

「うーん、まぁそうだよね」

自覚はしている。自分自身すごく分かっている。

だから疑問に思っているのだ。

私たち、これでいいんだろうか。って

私の考える恋愛って相手が好きだから付き合うわけだけど。

私って秋真のこと好きだっけ…。

カッコイイとは思ってるけど違和感を覚える感情に、

戸惑う。

これで、いいんだろうか。 

   

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