傍に | ナノ

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朝日がのぼる前に目を覚ました私はぼーっと窓から空を眺めていた。

まだ暗い景色だったがだんだんと明るくなっていく風景に思わず瞳を細めた。

そして眩しい朝の光が自分を照らす、それは心地よくて暖かい光だった。

「…暖かい、」

まるで初めてその光を浴びたように、詰まっていた血が溶けて正常に戻ったような感覚。

とても心地よいその感覚だったが、疑問を感じ始める。

こんなにも日差しが気持ちいい…。

それは一体なぜなのか思考が回転しようとしていたが、

起きたばかりで回転できるほどはっきりとした意識は持っていなかった。


「朝食を、」

そう呟くとだんだんと空いてきたお腹の動きを感じながら、寝室を出た。

生活用品は初めから揃っていて、不便とは感じなかった。

食べ物もしっかりと冷蔵庫に入っている、そこからあったパンを取り出すと、

トースターで焼き上げた。

こうゆう日常的な知識はあるのに、肝心な事が思い出せない。

助けられたということは誰かに追われていたんだろうか。

すっかり起動した頭はぐるぐると回りだす。ふいに長い針が突き刺さったような痛みが頭を襲うと、

持っていたパンをゆっくりとお皿に載せた。

そして反対の手でこめかみを抑えると、頭の痛みは徐々になくなっていった。

それでもなんだか食べる気がなくなったので、朝食を終えることにした。

片付けをしていた所、ドアを叩く音が聞こえた。

ドアを開けるとそこには黄色い髪の少年が立っていた。

波風ミナトだった。

「おはよう」

「おはよう、」

微笑んだ彼だったが、なぜここに来たのか考えているとまた声が聞こえた。

「朝早くから、ごめん。里を案内したいんだけど、あ、もう朝食は食べた?」

それに頷くと、ミナトはまた笑った。

「じゃあ、行こう」

なんだかこの人の笑顔はシカクとだいぶ違っていた。

わかるのは、この人は私を警戒してるということ。


   

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