傍に | ナノ

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お前に問おう

お前は、

一体何者だ





知らない。

だって、私は記憶がないんだもの。

取り戻したい、とは思わない。



さっきまでこの家にいた、

ミナトという少年。

シカクと同じぐらいだった。

でも、彼からはまた違うものを感じた。

彼は私を疑っている。

疑うくらいなら、ここに連れてこなければよかったのに。

また瞳を閉じてそう考えると、

急に頭が痛み出した。

徐々に大きくなっていく痛みに、

少し顔を歪ませた。



「ぐ…ッ、」





思い出せ、お前の本当の姿を



「本当の姿…?」

聞こえた声は、頭に染み付いて離れない。

本当の姿など、知らない。

知らない、知らない、知らない。


思い出したくもない。


私は何者にもならない。


戻りたくもない。




   

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