傍に | ナノ

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「ねぇクシナ聞いた?」

「聞いたわよ!!」

「そんなに怒らなくても…ま、仕方ないか」

赤髪の少女クシナとその隣の友人ヨシノ。

クシナの顔は強ばっていた。

その理由は先ほど耳に入った話。

「でもミナトが女の子連れてくるとはね〜」

「ミナトは助けてあげたのよ!」

クシナの大きな声に苦笑いしながらヨシノは話を続けた。

「でも緑色の綺麗な髪をしてた、って噂。」

「髪なら私は負けてないわ!顔はどうだかわからないじゃない。」

「まぁ…そうね、」

二人は団子屋のイスに腰掛けながら、そんな会話をしていると、前から見知った顔が歩いてきた。

「あ、シカクーッ!」

それは二人の友人で同じ忍で奈良シカク。

こちらに気づくと、変わらないペースで歩いてきた。

「どうしたの?任務は?」

「今さっきこなしてきたとこ」

「早くない?」

「ね、さっき呼び出されたばっかじゃない?」

クシナとヨシノは顔を見合わせると、

シカクは、あー、とつぶやくと、少し考えるように首をかしげた。


あれ…あいつの事って、言っていいんだっけ…?火影様に聞くの忘れた…。


「まぁ……いいじゃねぇか!」

「「はぁ…?」」

ま、いっか。と団子をほおばり始めた二人。

それにシカクは安心したように息を漏らした。

「ねぇ聞いた?ミナトの話!」

「女の子里に連れてきたったやつよー!」

「………へぇ。」

そんな噂になってんだ。

これじゃあ隠す必要もなかったな。

「ああ、さっきの任務のその"女の子"って奴を案内してきたとこだよ」

「うっそ!」

「早くいいなさいよ!!」

「って!!!」

ヨシノの手のひらが勢い良く背中にあたって、じんじん痛み出す背中。

くそ、いてぇ……

「その子、どんな感じなの?!」

「可愛い?!」

「はぁ…?!」

ここで答えなかったらさっきよりもひどいのがくるな…。

「普通。」

「なんだ、じゃあクシナ勝てるわよ」

「良かったぁぁぁ!!!」

「じゃ、俺は行くぞー」

二人から離れて歩き出すと頭にあいつの顔が浮かんだ。

そういえば、あいつは名前がなかったな。

あいつに会った瞬間感じた少し妙なチャクラ。

なんだか先がみそうにないチャクラ。

でも忍ではない彼女がそんなチャクラを持つことができるのか、

記憶がない、追われた少女、ミナトの話では若い男が付いてきたって話だった。

あいつは何者なんだ、

そう考えるよりも、

なんだか疑問に思った事。

彼女の心が無に近い気がした。

何もわからないのはわかる、


でも、なんの反応も示さないのだ、


まるで、


世界に興味がないように。



そのとき、頭に浮かんだ言葉。



あんなこと初めて言われた、



なんだか忘れられない言葉。




そのときだけ、あいつの表情がなんだか柔らかく見えた気がする。












ほんと、



変な奴。





 

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