16歳 | ナノ

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「燐、雪男」

掴まれた腕じゃら感じる体温は暖かかった、NO NAMEはもう一度、確認するように燐と雪男の名前を呼んだ。

「NO NAME…?」

「ごめんね…二人とも…、」

赤い瞳を細めてNO NAMEは笑う、狂ったようにしか笑わなかったNO NAMEの本当の笑顔だった

燐と雪男の瞳は見開く、時がとまったかのような感覚に、なんだか泣きそうになった

しっかりと二人の顔を見れると、NO NAMEはしっかりと瞳を開く。

「思い出したよ……ねぇ…私は、貴方たちの妹だよ…ね」

「当たり前だよ…」

雪男は柔らかい笑みをつくって、NO NAMEの頬を撫でた。

久しぶりのその優しい感覚に、胸が和らぐ、鼓動が落ち着いていく

「NO NAME」

燐の声が、頭に響く。何度も何度も名前を呼ばれたのに、気づけなかった、燐の声

思い出せなかった、燐が私を呼ぶ声。

今は、すごく暖かい。

燐の口元が悔しそうに塞がれて、瞳が切な気に細まって、また小さく息が漏れた。

「なんで、泣いてるんだ」

ひどく優しくて、切ない声。

NO NAMEは涙を流していた、頬を濡らすその涙は止めることができない。

笑っていたかったのに、うまく笑えない。

「…ずっと、妹でいたかった」

願うことが許されるのならば、人間でなくてもいい、ただ二人とずっと一緒に、いたかった

そう思うことだけでも私には、罪になるのだろうか

雪男はNO NAMEの腕をまた力強く掴むと、強く瞳を見開いた。

「ずっと、一緒だよ」

その言葉さえも今は、涙に変わってしまう。

ああ、胸がどうしようもなく痛いのに、なんでだろう

今まですごした日々が、奇跡みたいに光って見える。

「……うんっ、そうだね」

「NO NAME」

燐の声がまたNO NAMEを呼んだ、それに答えるように笑顔を見せたが、燐は頬を緩めなかった、何度も、何度もNO NAMEの名前を呼んで、腕にを掴む手に力を入れる。

「ありがとう、ありがとう…家族に、なってくれて」

二人の腕を無理やり振り払って、NO NAMEはまた一歩、虚無界の門へと踏み出す。

自らの手に炎を纏わせて、人を殺すことのできる爪を胸へ突き刺した。

自分の手で、身体を引き裂く、滝のように流れ出る血が、虚無界の門を活性化させて

引き戻そうとする二人を阻止した。

「NO NAME!!や、めろおおっ!!!」

二人の声が聞こえる、泣きそうな声が、頭に響く。



――神様、私に罰を与えた神よ、今は…生きることが苦痛ではなくなった。だから神よ、私に新しい罰を、私に、死を




自分の身体の中に入った手に力を込めて、心臓を掴む。

むせ返る血は口からもあふれ出た、でも嬉しいのだ、笑顔になれる。

鼓動が伝わる、優しい鼓動だ、目を閉じた瞬間、その手で心臓を握りつぶした。

倒れる身体は虚無界の門が侵食し始める







燐と雪男の手がいくら伸びても、もう届かない






届かないのだ


   

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