16歳 | ナノ

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「何を笑っている」

NO NAMEはゆっくりと口元を釣り上げていた。その不可解な笑みのはずだったが、

エンジェルにはそれはひどく美しく移る。悪魔なのに、こんなにも美しい。

赤い瞳は細められ、白い肌は真紅の髪を引き立てる。そしてしならせたのはその

美しい唇。

エンジェルが息を吐き出した瞬間、エンジェルの腕をつかんだのはNO NAMEだった。

「なんのつもりだ」

「…離して、身動きがとれないのは嫌いなんだ」

エンジェルは決死でその言葉を聞かない、誰もがそう思ったがエンジェルの腕は

ゆっくりとひくと、大剣も下がる。

「なぜ?!」

それにはエンジェル本人も驚いていた、NO NAMEは微笑みを浮かべると、

そのままエンジェルから離れた。

勝手に腕が動いた、身体が勝手に……。

エンジェルの体には異常など何一つないのに、

「お久しぶりですねぇ、エンジェル」

現れたのはメフィストだった、それにNO NAMEは視線を向けると

小さく笑う。

メフィストは当たりを見渡した。エンジェルの顔は歪んでいた。

「メフィスト、ようやく尻尾を出したな」

「私は尻尾などだしていませんよ、紳士に向かって失敬な」

「まぁいい…」

エンジェルが再び私に剣を向けた時、メフィストが息を吐き出した音が聞こえた。

それにNO NAMEは口元を釣り上げると、そのままゆっくりと後ろに下がる。

「逃がさないぞ」

「どいうかなあ、私は気まぐれなの…その子の元気がないならもう行く」

ちらっとNO NAMEは燐に視線を向けた。

傷ついた彼の姿に微笑むと、NO NAMEはその場から立ち去った。



   

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