16歳 | ナノ

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「ゴースト、かぁ」

カラフルなタイルの上を軽い足取りで歩きながら

周りに視線を向ける。

華やかな建物とアトラクションに心を半分奪われながらも、目的のモノを必死に探している。

だが、その目的のものは見つかりもしない。

そう、ここは遊園地。

祓魔塾で私だけがはじめての任務。

夏は行けなかった、まだひとり残されたことが悔しくて、たびたび悲しい気持ちになったりするが。

今はこの任務に専念したい、

そんな気持ちが強かった。

やはりそれは初任務に行けなかった原因である、合宿での出来事。

悪魔であるアマイモンさんと夏休みの間にも何回か会ってしまった。


「ちゃんと探してるか?」

ふと聞こえた背後からの高い声、

その声の主がフードを被って、手にはゲーム機を持っている山田君だと理解するのには時間はいらなかった。

山田くんに渋い顔で、笑いかけると、ゲーム機を取り上げようと手を伸ばすが、

あっけなく交わされてしまった。

「コレを取ろうなんて、考えるだけ無駄無駄」

「えぇ。山田くんこそちゃんと任務に専念しないとダメでしょーが、」

はいはい、とでも言うかのように軽く頷いたが、
ゲーム機からは目を離す気はないらしく、
また画面を見つめて、手を動かし始めた。

今回の任務は二人ひと組みでゴーストを探す任務。

ここ、遊園地ではそのゴーストによる被害があるらしい、それで私のペアは山田くんになったわけだが。

見ての通り、山田くんはゴーストを探す気なんかまったくないらしい。

まったく、これで成績優秀なんだからすごいよね。

私だって、みんなが任務に行っている途中に悪魔関連の本をたくさん読んだ。

でも雪男に教えてもらわないとまったく頭に入らなかったのが現実であった。

くそう…、


「山田君、わたし、あっち探してくる。」

それだけ告げて、ミニサイズのジェットコースターが見える方へ、向かうことにした。

今回の任務で成績UPしないと…、

周りに気を配りながら歩いていると、ある物に目が止まった。

一本の赤い花。

彼岸花、

彼、岸…花…?

それが彼岸花、赤い、彼岸花だと、

そう思った瞬間、に体に何か突き刺さるような痛みを胸に感じた。

「…な、に」

誰かの手によって切られた一本の彼岸花は、

なんの変哲もないように、

タイル上にあった。

この周辺のタイルは暗い色をしていて、

彼岸花の色は妙に頭に染み付いて、取れない。

全身血が騒いでいるような気がした。

ただ、赤い花を見ただけでこんなことになった時はなかった。

彼岸花も肉眼で見るのははじめてのはずなのに、

妙に懐かしい感覚だった、

「ぐぁ……」

ふいに胃から何かが上がってでもくるかのように、
気持ち悪い感覚に襲われる。

耐え切れず、地面に膝をついて、口を開いた。

「おぇ……っ…、」

胃液と共に吐き出したモノ、

それはコンと音を立てて、地面に落ちた。


「…ぅ…な、にこれ…っ」

親指ぐらいの大きな赤い結晶。

それは見事なぐらいに赤く、所々に薄い色などはなく、全てが綺麗だと思えるぐらいの色であった。

「…血…っ…?」

結晶ででてくるはずがない、

自分から出てきたモノを恐怖を含めた瞳で見ていると、

目の前にコツと、上から舞い降りてきた者の音が聞こえた。

ばっと顔を上げると、

そこには夏休みに何回かあった、

悪魔がいた。

その悪魔は首をかしげて、

私の目の前にある結晶へと瞳を向けるといつもと変わらなぬ無表情で、


















「これはびっくりしました。貴方がこんなにも尊い存在であったなんて。」












   

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