16歳 | ナノ

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「はぁ…はぁ…ッ…!」

夕暮れに染まる道をただ走る、

息が苦しい、

このまま走っていたらきっと足が燃え尽きてしまいそう。

「クククッ、逃げても無駄だぁ!」

「ッぁ!!!」

動かしていた足をガッ、っと引っ張られ

地面に叩きつけられる。

「くぅ……な、なんなのッ…」

叩きつけられた衝動で足には無数の傷と

血が流れ出していた、

じんじんと痛みが走る足を起こすと、

また走り出す、


「怖いッ…なんなの…?!」

買い物から帰ってきて、

家に帰ろうとしただけなのに。

変な声が聞こえてきて、追いかけられる。

姿は見えないし、

声もとぎれとぎれ、

こんなに怖いことってないッ…

「!」

ふいにポケットから鳴った携帯。

きっと雪男からだ、

とっさに携帯を取って開くと、

視界が歪んで、鈍い痛みが身体全体に走った。

「ぐぁ!!!」

吹き飛ばされた。

また地面に叩きつけられる、

痛い、

携帯を見ると、無残な事に二つに割れていた。

「そんな…ッ…」

誰に助けを求めればいいの、

なんで…こんな事にッ…。



「お前を、食ってやる」

「食う?!」

ふいにすぐ近くで聞こえた声、

怖くてたまらない、

すぐ近くにいる…!!!

「い、いやッ!!!!」

さっきからカラスの泣き声がひどくなってる

震える足が動かない、

震える手が役に立たない、

あぁ、明日で私は誕生日を迎えるのに

死ぬんだ。

「死なれては困ります」

瞳を閉じかけた瞬間、

聞こえた聞き覚えのない声。

「…だ、れ……?」

前に立っていたのはピエロのような男の人、

こちらを見て、

ただ変な笑を浮かべている。


「お会いできて嬉しいです」


不覚私に向かって頭を下げた男。


「あ、あのッ…?」

「お話はまたにしましょう、貴方の血のせいでザコが集まってきてますよ」

「…へ、血…?!」

さっきから転んだり、

叩きつけられたり、

そのせいで足や手は可哀想な事になっている。

「家に向かって走って帰ってください」

「家…?!」

さっきの声はなんなの?!

貴方は何?!

ザコって何?!

そんな事を聞く暇もなく。

私は必死にこの恐怖から逃げていた。



   

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