16歳 | ナノ
17034/6
手を伸ばせば、青空が掴めてしまいそうだ
だんだんと地上から離れていく私を抱きしめたのは、懐かしい香りだった。
「父さん…っ…」
すぐに分かった、小さい頃からずっと傍にあった、大事な存在
自分を育ててくれた、強く気高い、父親
たとえ、偽りであっても
優しく頭を撫でてくれる、心地よい感覚
「やっとね、私…自由になれた」
「ああ、よく頑張ったな」
優しい声に包まれて、ゆっくりと瞳を閉じた。
背中から翼が生えているかのように、身体が軽くなる。
暗くなった視界の中で広がるのは、優しい光
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