16歳 | ナノ
01033/5
「なにこれ?!」
私の家、
教会が崩壊していた。
「みんなっ!」
燐は?!父さんは?!みんなは?!
嫌な考えばかり脳内に浮かぶ、
がれきをかき分けて中に入ると信じられない光景が目の前にはあった。
「え……」
みんなが倒れてる、
燐が泣いてる、
父さんが、
死んでる。
「い、やぁ……」
何かが途切れたように、
頭が真っ白になる。
動かない父さんを、
ただ見つめる事しかできない。
「NO NAME?!…これはっ…」
後から駆けつけた雪男がこの光景を目の前にして、
私の名前を一回呼んで、ただ、悲しい顔をした。
父さん、父さん、
優しい、父さん。
『こら、泣くんじゃない、お前には俺達がついてる』
そう言っていつも私の頭を撫でてくれた、
あの心地よさが一番好きで、大切だった、
「NO NAME、明日から変なものが見えるかもしれない…でも怖がらないで」
雪男がそう言ってから、夜が明けて
本当に変な物が見えるようになった、
漂うへんな生き物など、様々なものが。
「…燐」
そして父さんのお葬式
父さんのお墓の前から動かない燐に話し
かけても返事は曖昧なものばかり、
「NO NAME、行こう」
雪男に連れられて、
帰ろうとしたものやっぱり燐が気になった。
「先に帰っていて」
「…じゃあ、兄さんと帰ってね、絶対に一人で帰らないで」
そう言い残して帰った雪男を見送ると、
父さんのお墓に戻った。
「?」
燐が変な人達に囲まれ、
ひときわ目立つピエロみたいな人、
あれ……?
は大爆笑している。
「おや、またお会いしましたね」
「!」
草木に隠れていたはずなのにバレた、
こっちを見て変な笑みを浮かべているピエロみたいな人、
あの時、会った人。
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