16歳 | ナノ
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「エンジェル!シュラ!」
「よそ見何かしてる場合あるのかァ?!」
何度牙をむいても叶わない。はねとばされるだけの燐、
燐は歪んだ顔でサタンを見つめると、その瞳の向こうにいる雪男に呼びかけた。
「おい!雪男!!目を覚ませ!!!!」
「言っただろ、雪男は自分から悪魔になりたいと望んだんだ、お前の呼びかけに答えるはずがない」
「なんでだよ!!!雪男!!!!!」
「NO NAMEを守りたいんだそうだァ」
ニヤニヤと笑うサタンに向けるのは怒りの感情だけだった、
「(なんでだよ、雪男…)」
「お前もNO NAMEがことが好きなんだろ?ならお前もいっそ悪魔側に来い、お前も悪魔なんだからよ」
「黙れ!!!」
悪魔であって良いことなんて今までひとつもなかったはずだった、
でもそれは自分が逃げていたからで、努力次第で友達だってできた。
それでも、人間に憧れた。
「雪男っ!!!!よく考えろよ!!!悪魔になったNO NAMEの笑顔は、違うじゃねーか!!!俺たちが求めていた笑顔じゃないだろうがよおおぉ!!!!」
燐が地面を蹴ったまっすぐと剣を構えてサタンへと向かう。
「無駄なことを………な…っ…」
サタンがを振り上げようとした瞬間、瞳の中から青い輝きが戻り始める。
――兄さん、
「…雪男ォ、お前…NO NAMEを守りたんじゃねーのかよ……」
まっすぐ自分へと向かってくる燐を見つめながらもサタンは小さく笑う。
「僕は、NO NAMEを守りたい…」
サタンから漏れ始める声は雪男の声だった、ゆっくりと、瞳に青い輝きが戻り始めるが
サタンの声は消えてはいなかった。
「雪男!!お前の守りたかった笑顔はあんな笑顔じゃねぇーだろうがああァ!!!!」
燐の拳がサタンの頬へと食い込んだ、勢いよく飛ばされたサタン。
「…燐、余計なことを言うなよなァ」
「…うるせえぇ!雪男から出て行け!!サタン!!」
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