16歳 | ナノ

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必死に家に向かって走っていたら

もう空は真っ黒に染まっていた。

それに恐怖を覚えて、ただ必死に走る。

こんなに空を、暗い道を怖いと思ったことはない、

さっきからおこる不可解な出来事に納得がいかない、

頭がこんがらる…


「はぁ…は…」

「NO NAME!!!」

家の近くまで来たとき、

聞きなれた声を聞いて足が止まった。

「雪、男…!」

私の姿を見てこっちに走ってくる雪男を見て、

肩の力が抜けたように地面に落ちた私。

「NO NAME!その怪我は…やっぱり…ッ」

やっぱり、って何…?

血が漏れ出す部分に雪男は応急処置をしだす、

そして私を見て、

悲しそうに瞳を細めた。

「だから僕も一緒に行くって言ったんだ…」

「だって、こんな変な事になるとは…お、もわなくて…ッ…」

ふいに頬に流れた涙を雪男は見て、

私を抱きしめた。

「僕のせいだ…本当にごめん、NO NAME」

怖くて、

仕方がなかった。

痛む身体なんかどうでもいいから、

この状況をどうにかして。




NO NAME



「!」

一瞬、頭の中に響いた、

燐の声。

聞き慣れているはずの燐の声。

でも、違った、

目を見開く私に雪男は眉を寄せて、

私を見た。

「燐の声が聞こえた、早く教会に!」

そして雪男の手を振りほどいて走り出す。

「NO NAME!待って!」

待てない、

ダメなの、

すぐいかなきゃ。

だって、

だって燐の声が、






震えてたの、


 

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