16歳 | ナノ

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だが、それを遮ったのは青い炎だった。

「たとえ我が息子だろうが、NO NAMEを泣かせたら容赦はしない」

笑い声にも似た声、よく知った声。

ゆっくりと視線をその声の主に移すと、姿もよく知っている人物に似ていた。

「…雪男、お前…」

自分と双子の兄弟。雪男。

悪魔の力を継いだのは俺だけのはずだった、でもその姿はまるで、俺のように

悪魔のように。

耳は長くなり、瞳は血走っている。

「…どう、したんだよ雪男?!」

「あぁ、こいつはもう俺が支配したぞ」

NO NAMEもゆっくりと雪男に視線を映す、雪男は瞳を細めてNO NAMEを見ると、

小さく笑った。

「久しぶりだなァ、NO NAME」

雪男の持っていたのは一本の赤い彼岸花だった。

それにNO NAMEの心臓が大きく揺らいだ、同時に、真紅の瞳からこぼれ落ちる涙が止まる。

「サタン…っ…」

NO NAMEの口から出た言葉に燐は小さく息を吐き出した。

「なん、だって…?!」

「そうだ、雪男の身体を支配させてもらった」

「今すぐ雪男から出て行け!!!!!」

燐は剣を抜くと、全身に青い炎を纏わせた、青く光る瞳をサタンと化した雪男に向ける。

「こいつが望んだんだ、NO NAMEを守れる力があれば…それでいいと言ってな」

サタンはゆっくりとNO NAMEに近づくと、NO NAMEの瞳を見つめた。

それにゆっくりと微笑み返したNO NAMEだったが、顔は歪んでいた。

「サタン、貴方に会えたのはすごく嬉しいのに…今は喜べないの、分からないことが多すぎて…、なんでこんなにも時はたってしまったの…?!」

サタンはゆっくりとNO NAMEの瞳に手を伸ばそうとしたが、燐の剣がサタンへと向いた。

「今すぐ、NO NAMEから離れろ、雪男からも出ていけ!!!!」

「やめてよ!!貴方はサタンの息子なんでしょう?!」

NO NAMEの言葉に燐は揺らぐことなく、剣を構え続ける。

「こいつは俺から大事なもんを奪っていきやがった、俺からだけじゃねぇ!みんなからだ!!!!」

「…そうだな、では燐、決着をつけよう。」

「サタン…っ」

「お前は下がっていろ」

NO NAMEが一歩後ろへと下がった瞬間、大剣が背後に迫っているのに気づき、

大きく飛んで、瞳を細めて、大剣の持ち主を睨んだ。」

「エンジェルだっけ」

「…悪魔風情が、私の名前を呼ぶな」

現れたエンジェルにNO NAMEは小さく舌打ちすると、頭を傾けた。

「お前に私は殺せないよ、分かっているんじゃない?」

「…そんなことあるはずがない!」

エンジェルがNO NAMEに向けて走ろうとした瞬間にエンジェルは赤い炎に囲まれる。

「赤い炎…元は天使であった存在が、悪魔堕ちするとはな」

「…天使ではないよ、悪魔より罪深い存在だったかもしれない」

笑みを浮かべるNO NAMEは赤い炎をまとわせながら、狂ったように笑う。

「NO NAME…元は悪魔だったとしても、お前は狂ってはいなかった」

「…誰」

「お前の教師様だよ」

背後から現れたのはシュラだった、身動きのできないエンジェルを見てため息をつくと

自らの剣を構えた。

「困ったな、女に私の魔法は効かない」

「魔法?それは呪いだろう?!」

「よく分かってるね、私でも制御できない、呪いだ!!!!」

苦しげに、でも笑みを浮かべているNO NAMEにシュラは強い目線を送り続ける。



 

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