16歳 | ナノ
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“NO NAMEが悪魔?”
様々な疑問が頭の中で交差する。
ありえない、だって、あいつは俺の妹だろう?
そんなことはありえるはずなんかないんだ、
一緒に育ってきたのに、ずっと一緒だったのに…。
――NO NAME、ケーキ作ったんだ
―また上手になったね!すごく美味しいっ!!
あいつが好きなものを作って、食べさせて、
そしたらNO NAMEは笑ってくれるんだ、綺麗な笑顔を向けてくれるんだ。
それが嬉しくて、それがどうしようもなく愛しくて、
俺はまたケーキを作る。
そんな毎日が続くと思っていたのに、
俺はNO NAMEを傷つける一番の存在だった。
離れようとした時もあったが、俺は親父と約束したんだ。
“NO NAMEを、頼む…”
その声が、言葉が、俺を縛り上げて、強くした。
誓ったんだ、あの笑顔を守ると。
悪魔である俺でも、守りたいと思うから。
絶対に傷つけなんかしないから。
なのになんでだ。
なんでNO NAMEが悪魔なんだ。
信じられるわけがない。
瞳は真っ赤に染まって、髪は真紅に輝いている。
悪魔なはずなのに、どうしようもなくNO NAMEに似ている。
そしてあの時と同じ笑顔を向けるのだ。
でも、想いは変わらない。
変わるわけがない、だってどうしようもなくNO NAMEなのだから。
お前が俺と同じ悪魔だなんて、
悲劇に近い。
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