16歳 | ナノ

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「…なんて、綺麗な炎なんだろう」

視界に広がるのは、あの綺麗な炎。

森を包んで、黒く染める。

それを纏うあの青年がひどく輝いて見える。

鼓動が高まる。

あの時と同じだ、

アマイモンはあの青年に倒されてしまった。

自ら炎に飲まれて荒れ狂う青年の剣が壊れ、吹き飛ばされた青年のもとへと

飛ぶと、そこには数人の人間の姿あった。

気にせず、人間達に襲いかかろうとする青年の目の前に降り立つ。

「NO NAMEっ?!」

なぜ、この人間達は私の名前を知っているのだろうか。

振り向き無せず、炎に飲み込まれた青年に目を向けると。

自らを失ったかのような瞳、この青年に聞きたいことがある。

「ねぇ、貴方……」

青年に近づこうとした時、青年の前で手を広げた人間の女。

「やめて…っ…貴方も悪魔なの?!燐に近づかないで!」

「しえみさんっ!!」

気にせず、手を伸ばして青年の頬に触れた瞬間、

青年の瞳が見開かれた。そして、小さな声で私の名前を読んだのだ。

そして炎は消えると、ゆっくりと地面に崩れ落ちた。

「燐っ!!!」

青年を抱き寄せる女を見つめて思う。この青年が好きなのかな、と。

「NO NAMEっ!」

再度呼ばれた自分の名前に、歪んだ顔で振り返れば、

数人の人間は瞳を見開く。

「まさか…奥村NO NAME?!」

「……奥村?」

名前はあっているのに、なにそれ。奥村ってなんだ。

「……どうゆうことだ」

「…奥村さん!その姿は一体?!まるで、まるで悪魔じゃないですか!!」

ひどく怯えたように先ほどアマイモンに腕を折られた男が叫んだ。

それに疑問を感じた。

なんで、驚いているの。

「そう、私は悪魔だけど」

「嘘、だ…」

嘘じゃない。と言おうとした途端、上のほうから感じた人間の気配。

それと同時に声が響いた。

「まるで、あの夜のようじゃないか」

「誰…?」

「ヴァチカン本部勤務の上一級祓魔師。アーサー・オーギュスト・エンジェル」

「………祓魔師」

男はエンジェルと名乗った。顔を傾けてそれを見つめると、

エンジェルは微笑んだ。

「君は悪魔だね」

その瞬間エンジェルは自分の背後に移動して私の首元に大剣を向けた。

「困ったなあ、身動きができない」

「待ってください!NO NAMEは!!」

男がそう叫んだとき、私の口元はゆっくりと弧を描いた。


   

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