16歳 | ナノ
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「無事帰還やぁ〜」
合宿の内容は三日間以内に提灯に火をつけて持ち帰ること。
持ち帰れば実践への参加資格がもらえる。実践を経験すれば少しは強くなれはずだ。
しえみ、勝呂、子猫丸、志摩と協力してひとつの提灯を持ち帰ることができた。
既に提灯を持ち帰っていたのは神木と宝だった。
「やりましたね、奥村君」
「そうだな!」
子猫丸に笑いかけると、子猫丸は少し瞳を細めた、
「奥村さんも実践に参加できれば良かったんですけどね」
「ああ、でも俺たちが先に強くなってあいつを焦らせてやろうぜ!」
「そうですね!!」
そうだ、強く、強く。
傷ずけさせないように、笑えるように、俺が守れるように。
「っ、いった…」
「どうした、しえみ?」
顔を歪めてうなじを抑えたしえみの顔を覗くと同時に、シュラの声が発せられた。
「あれ?お前ら全員か??誰もギブアップしてないのか、それじゃあさっきのロケット花火は…?」
シュラの放った言葉に疑問を思うと、空から響く声が聞こえた。
「ひゆうううううううぅ!!」
空から二つの黒いものが見えると、それは地上に降り立った。
「なっ…!!」
それはあの時の悪魔、アマイモンでそいつは鎖で悪魔を繋いでいた。
「ぼさっとするな!」
呆然とその姿を見つめていると、シュラの強い声が響きわたった。
それに思わず瞳を見開く。
「ゴーっベヒモス!」
そのアマイモンの合図でヘビモスと言われた悪魔はこちらへ走り込んでくる。
「待ちくたびれたよ」
シュラはそう言って笑うと唇に指を加え、高い音を鳴らした、
それと同時に中心で炎を上げていた所からシュラの使い魔の蛇が現れると、
炎は先ほど書いた魔方陣をなぞるように赤く染めた。
そして視界は白く包まれた。
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