16歳 | ナノ
07055/5
雪男から貰ったノートをパラパラ見ていると、
やはり自分が相当遅れていることに気づく。
わからないところは雪男に聞こうとノートを閉じると、横にある棚にそれを置いた。
なんだか眠い。
だんだんと迫ってくる眠気と共に瞼が閉じかかっえきた。
自然に力は抜けると完全な眠りに落ちる。
「お前は何者だ」
その声を恐る心はなかった。ただ白く伸びている手で握られている彼岸花を眺めていた
するとその彼岸花は青い炎で覆われると数秒でどんどんと枯れていった。
赤から黒く染まった彼岸花は白い手からこぼれ落ちると、
白くなった地面に落ちた。
「もう一度聞く、お前は何者だ」
次は私が黒く染まることになる。
そう言っているかのように彼岸花の姿は醜く成り果てていた。
それに息を吸うと、口を開いた。
「私は人間だよ」
「嘘を、つくな。」
その瞬間、白い手は葉に隠れると、その木全体は青い炎に覆われた。
視界が青い炎でいっぱいになった。パチパチと火の粉が飛ぶ中、また声が聞こえた。
「お前から感じる、その香り……喰らいたくなるほどの、甘い香が。人間ではない」
その言葉に口元がつり上がった。
「私は人間、人間なの」
口ではそう言っているもののだんだん緩んでくる表情。
それに木から青い炎は消えた。
「私を殺さないの?貴方は危険な人なんでしょう?」
「あぁ、お前を喰いたいからだ。」
それに瞳は細まると、ゆっくりと両手は上がった。
「それで死ねるなら、どうぞ召し上がれ」
それは長い時を生きた罰の証。
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