16歳 | ナノ

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「そういえばNO NAME、」

「なに?」

NO NAMEに声をかければ窓に視線がむいていたNO NAMEの顔はこちらに向いた。

それに微笑みながらゆっくりと手に持っていたものを差し出した。

「はい、進んだ所ノートに移しておいたから」

「あ、ありがとうっ!さすがは雪男!」

それに微笑ましい笑顔を浮かべてノートを取ったNO NAMEに笑いかけた。

「燐は今頃授業かな」

「そうだね、今は魔法円の従業かな」

「あ、じゃあシュラちゃんだ。」

いつのまにか仲良くなっていたシュラさんとNO NAME。

シュラさんはよくこの病室に来てはNO NAMEの相手をしてくれている。

山田と名乗っていたときでも既に仲はよかったらしいが、正体までは知らなかったらしい

「雪男は?任務とか」

「大丈夫、今日はないよ」

「本当?」

心配そうな表情で見上げてくるNO NAMEの瞳にまた微笑んだ。

「大丈夫、心配しなくていいよ。今はNO NAMEの傍にいたいんだ」

それに照れるように笑ったNO NAMEはノートをパラパラめくり出した。

そしてだんだんと細くなっていく瞳を何も言わず見つめていたら、

NO NAMEの口から一つのため息が溢れた。

「私…自分から魔祓師になりたい、っていったのに何もできてないね」

「NO NAME、今は自分の身体のことを考えて、大丈夫すぐみんなに追いつけるから」

「違う……そうゆうことじゃなくて」

ノートを握る手が強くなった、しわがついたノートのページを見たNO NAMEは

慌ててそれを直して息を吐いた。

「ごめん、なんでもないや」

「うん、大丈夫だよ」

困ったように笑ったNO NAMEの頭を撫でれば安心したように瞳を閉じた。

「NO NAME、今は何も心配しないで早く復帰することだけ考えよう」

「…うん」

それににっこりと笑ったNO NAMEだった。

だが、いつもはすとんと胸の中に落ちていく笑顔が、胸のすぐ前で止まった。

開きかけた花が途中で開くことを止めるよに、

確かに笑っていたあの笑顔が今は違う。

なぜ、なぜ、なぜ、なぜ

ぐるぐると回る頭の中で疑問は大きくなる。

同時に黒く渦巻いた気持ちが大きくなる。

二つが合わさればなにになるだろうか。

この笑顔を本物にするために力になるだろうか。



NO NAME、NO NAME、NO NAME…。



 

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