16歳 | ナノ

0702
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「NO NAMEの酸素マスクが外れた?!」

「NO NAMEの酸素マスクは外れるとすぐわかるようになっていて、今連絡が来んだ!」

もうすぐ授業の二時間目が始まるというのに雪男が教室に駆け込んだ時は驚いたが

すぐさま自分も足を早めた。

急ぐ先は医療室。医療室の前にはシュラとメフィストの姿もあった。

「おいシュラ!NO NAMEは?!」

シュラはこちらに気づくと呆れたような顔で頬を緩めた、その表情に言葉も待たないまま病室に駆け込む。

「NO NAME!!!」

そこには横たわるNO NAMEの姿はなく、ベットで起き上がっていたNO NAMEの姿があった。

「燐」

その声を認識した瞬間に溢れ上がる感情に身を任せると、

手を伸ばして、NO NAMEを抱きしめていた。

何も言えないまま、その弱い体を抱きしめていると、やっぱり前より痩せたような気がする

NO NAMEも何か声を出しずづらそうにしていたが、小さく声を漏らした。

「苦しいよ、燐…」

それは冗談に近い声、嬉しさを帯びた言葉。

「くそ、心配させやがって……っ」

腕の中で見えたNO NAMEのは笑顔だった、恥ずかしそうなその笑顔に息をつく。

「兄さん!病み上がりなんだよ!!」

「あ、そうか」

手を離してやればすこしおかしそうに笑うNO NAMEを雪男はほっとした表情で見つめる

「良かった……」

「雪男、ごめんね」

どうやら自分の状況を理解していたのかシュラから聞いたのか、やけに落ち着いている。

「まったく私の話もきかないで駆け込みやがって」

「山田君っ」

「シュラ、って呼べっつただろNO NAME」

「そうだったね」

山田の正体がシュラだとまだ知らなかったNO NAMEはどうやら最初に目が覚めたとき

シュラがいたらしい。そこで話を聞いてすごくびっくりしたそうだ。

同時に俺たちのことを心配していた、何度もあやまるNO NAMEだったが、

そんな言葉なんかいらない。とにかくその体を抱きしめたかった。

ここにいる、と実感させてほしかった。


 

 

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