16歳 | ナノ

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「本部へはこのことは保留にしておく、だが奥村燐の観察は続ける。と、いうわけで日本支部に私の居場所を確保してくれ。」

イスに座り込むシュラの表情は厳しかった。

それに不敵な笑いを浮かべるメフィスト。

「はい、私からも貴方のような優秀な祓魔師がいてくれると心強い。」

「ふん、話はそれだけだ。」

立ち上がったシュラだったが、

扉を開ける前に、振り返った。


「それと…あの倒れていた奥村NO NAMEのことだが、」

「…はい?」

「以前からこのような症状が出たのか」

「わかりませんねぇ、彼女悪魔に襲われたことがあるので、目の前での戦闘で気を失ったのではないかと思います。」

「……そうか、」

それだけ言って扉をパタンと締めたシュラ。




「お可哀想に、まったく信用されてませんね兄上」

上から顔をひょいと出して、そう言ってみれば、
兄上の顔が歪んだ。

「お前には言いたいことがたくさんあるぞ、アマイモン」

低い声で放たれた兄上の声。


「僕にも言いたいことはたくさんありますよ。」

宙づりになっていたのをやめて、

下に降りて、兄上と向かいあった。

ポケットに入っている、モノを机に置けば兄上の表情が変わった。

「…兄上、なぜ隠していたんですか」

僕の気持ちはなんだか荒れている。

なぜ、教えてくれなかったのだろう。

知っていたら分かっていたはずなんだ、

僕は彼女の真実を知っていたら、きっとこんな気持ちになならなかったんだ。

「バレてしまったら、しょうがない」

そう言って笑う兄上。

それに少し怒りが湧いて、

じっと兄上を見つめていると、

兄上の楽しそうな瞳が帰ってきた。


「本当に真実を知っていれば、彼女にこんな気持ちにならなかったのか?」


「…はい、」


きっと、そうだ。

彼女の真実を知っていれば。

すぐに、戻れなくなる前に僕は。

大きくなる前に僕は。

ちゃんと、想いを消せていたはずだ。


どうせ届かない想い、なのだから。


「そうか、」

「…兄上、いつから気づいていました?」

「彼女が彼女でなくなる前から」

「父上には」

それにふっと笑った兄上。

言う訳がない。

言える訳がない。

彼女の存在を知っていて、隠していたならば。

「…どうするつもりですか」

「あぁ、彼女の存在がバレれば私たちにとっても人間にとっても、大変なことになる。」

でも僕は。

彼女に戻ってもらわないと困る。


早くこの甘い感情を捨てたいのだから、

届かないことを証明してほしいのだから。









だって君が愛したのは、

あの青い炎だから。



   

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