16歳 | ナノ
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真上に乗りかかっているアマイモンの首を掴んで、吹き飛ばす。
「うらあああァァ!!!」
湧き上がってくる炎と、力。
「うひょおぉっ!」
周りにあるガレキを投げつけても、
悪魔には効かない。
「うああああァァァッ!!!!」
アマイモンに飛びついて、
馬乗りになった状態から首を締めた。
「ぐおおッ…おおおおぉ!!!!」
溢れる、溢れる。
力が溢れる。
でも、この力に飲み込まれれば、
俺は、どうなる。
「うあァい!そうこなくては。」
アマイモンは右手を振り上げると、
地面を叩いた。
たった一回叩いただけの衝撃から、
地面が裂け出すと地面が大きく揺れた。
そのまま燐を足で蹴り、跳ね返した。
「うがあああああァァァ!!!!」
大きく叫んで、後ろに下がると足に何かがあたった。
振り返ると、そこには横たわっているNO NAMEの姿があた。
「NO NAMEッ…」
しゃがみこんで、手を握れば冷たい感覚が伝わってきた。
顔は青白く、安らかに眠っているようには見えない。
もう一度彼女の名前を囁くが、
なんの反応も見せなかった。
その時、また体に強い衝撃が走った。
「NO NAMEに触らないでください。」
「ぐァ…!」
その衝撃に任せて体は吹っ飛ぶと、地面に転げ落ちた。
背中から足を踏みつけられて、立ち上がることさえもできない。
「あれれーさっきのはもうおしまいですか?つまらないなぁ…こうなったら兄上に止められていたけど、剣を折ってしまおうか」
「や、やめろお……」
「八つ姫を喰らう、蛇を断つ!」
視界に入ったのは確か塾生徒の山田の姿。
だが、刀を持っている。
そして勢い良くアマイモンに襲いかかる。
その衝撃でアマイモンは俺の上からどいて、
数メートル離れた。
「ん、君は誰ですか?」
山田に首根っこを掴まれて、
起こされると、山田の高い声が響いた。
「お前、地の王アマイモンだな、なんでそんな大物がここに…ネフィストの手引きか?」
「…じゃまだなぁ…」
低く、不愉快そうに言い放ったアマイモン。
「邪魔はお前だ、」
「うーん…やっぱやめました、またの機会に」
「あッ!待てコラ!!」
アマイモンは持っていた剣を鞘に収めると、
こっちに投げてよこした。
「すぐに人が集まる!そのしっぽは隠しておけよ!」
山田はそう言って、アマイモンを追いかけた。
「くッ…」
簡単に剣を奪われるなんて、
あんなに強い奴がいたのか…、
つーか俺、一瞬意識飛んでた…?
「燐!大丈夫?!」
しえみの声が近づいてくると、
手が肩に触れようとした。
「触んな!」
その声で思わず伸ばしかけた手をひっこめたしえみに、はっとした燐は立ち上がった。
「ごめん、なんでもねェや…」
「…燐、」
そしてはっと浮かんだ彼女の顔、
「NO NAME!」
横たわっているNO NAMEの元へ走ると、
やはり変わらないNO NAMEの姿があった。
「NO NAMEちゃん!どうしたの?!」
「俺だって分かんないんだよ!!」
大きな声を発した燐にしえみは顔を歪めると、
NO NAMEに視線を戻した。
「しえみさん!大丈夫ですか?!」
「雪ちゃん!それよりNO NAMEちゃんが!!!」
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