16歳 | ナノ

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鞘から放たれた刀は青い炎を帯びていた。

「テメェ!!さっさと返せ!!!」

アマイモンに蹴りかかった燐も同じように、

炎を帯びていた。

燐の蹴りを簡単に交わしたアマイモンは宙に浮かぶと、

ジェットコースターの柱へと飛び降りた。

「くっ、」

燐は立ち上がると、私に視線を向けた。

目があった瞬間、心臓が大きく跳ねた。

そして頭の奥底から何かが、浮かび上がるように、

頭に痛みが走ってくる。

「…NO NAME、」

小さく私の名前を読んだ燐の表情は、

明るいものではなかった。

細められた瞳は青く、切なさに満ちている。

燐を覆う青い炎が、燐を別のもので変えていくような気がした。

燐が悪魔であることは知っていた、

だが、青い炎を見るのは
初めてだった。



「…り、んっ………」


「お前にだけは、」


小さく囁かれた言葉は、

やはり悲しみで満たされている言葉だった。

頭の痛さと、変な感情が交差して、

何も考えられなくなる。


「こんな姿、見せたくなかったんだ。」


ハッキリと聞こえた燐の声。

燐を止めなければ、

あの青い炎に飲み込まれてはいけない、

そう思った時、

燐の姿はなかった。

アマイモンを追いかけて宙を舞っていく燐を追う視線がだんだんとぼやけていく。


「ぐ、ぁぁっ…」


頭の奥底から蘇ろうとしている何かが、

邪魔をする。

燐に何かを重ねようとしている。


知っている

「私、は……知っている…」

奥底から聞こえた声を誰だと疑問に思う思考さえも、

今の私からは無理だった。

ただ、オウムのように口が動き、同じ言葉を繰り返している。

まるで、私とその声は同じモノだと、

理解させようとしているようにも見えた。


あの炎を

「あの炎を知っている…………」


そこまでだった。

私の頭はパンクしてしまいそうな激痛に耐え切れなかった。

全身を吊り下げている糸が切れたかのように、

一気に力が抜けると、

視界はぼやけた世界を映し出すことをやめた。








ドサっと体が倒れ落ちる音が聞こえた。

アマイモンとの戦いに奮闘していた、体が停止するとその音の先を見て、目を見開いた。

「NO NAME!!」

「よそ見はいけないですよー、」

「!」

さっきまで数メートル離れていたはずの悪魔がもう目の前で言葉を発している。

アマイモンが振りかざす拳の反応についていけていない。

やれるがまま、そのまま空中で突き落とされた。

「ぐぁ…っ…!!」

落ちた衝撃を体で受け止めた、

下から湧き上がってくる鉄の味の液を吐き出してた。

「あーあ、やっぱり…いい退屈しのぎになると思ったのになぁ……。」

つまらなそうに言葉を吐き出した悪魔に感じる感情など怒りしかない。

NO NAMEに何しやがった、

なんで倒れている、なんで苦しそうなんだよ。

何を言った。

なぜ、なぜ、なぜ。

怒りが湧き上がってくる。

なんでだよ。

なんでだよっ、なんで俺は、

こんなにも弱い。

なぜ俺はあいつを守れない。

失うのか。

また、俺は大事な人を失うのか。


「NO NAMEになにしやがったァッ!!!!」

燃え上がる怒りの炎に、

俺は身を任せた。





 

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