16歳 | ナノ
03022/6
「燐…っ…」
私に迫ってくる屍を殴り倒したのは燐だった、
がくがくと震える足は、
力尽きて、地面にペタリと座り込んだ。
「NO NAMEちゃん?!大丈夫?!」
「私は、大丈夫…それより朴さんを…っ」
駆けつけてくれたしえみちゃんは朴さんを見て、
自分の使い魔、緑男にアロエを出さして、対処した。
すごい、しえみちゃん…。
私、なんにもできない…、
「NO NAME、大丈夫か?」
屍を追い払った燐が座り込んだ私を心配そうな表情で見つめる。
「私は、平気なの…。」
「NO NAME!」
後から駆けつけた、雪男とみんな。
「怪我は?!」
「な、ないよ…それより朴さんを」
一番先に私を心配してくれた雪男に笑いかけて、安心させる。
苦しそうに横たわる朴、
私、なんにもできなかったなぁ…。
「NO NAME、本当に大丈夫かよ」
「うん、平気だって!」
「……来い」
「な、なにっ」
風呂場から引っ張られて、出ると。
燐は私を見つめた。
真剣な顔、
きっと、私の作り笑いに気づいてる。
「気にすんなよ、お前今日祓魔師になったばかりだろーが」
「そ、そうだけど」
なんだか戸惑いを隠しきれない、
屍と目があったとき、
恐くて、何も、出来なかった。
「…私、これから強くなれるかな」
「お前ならやれるって」
穏やかな表情で私の頭を撫でてくれた燐、
「うん」
それに笑いかけて、燐の手を握った。
「なんだよ、」
「ん、燐の手が暖かかったから」
両手で包み込むと、
照れたように燐は笑う。
「俺は体温だけは暖いぜ!」
「お、奥村君!?」
いきなり声を上げたのは志摩君、
志摩君の声でぞろぞろと風呂場からみんな出てきた。
「お前ら何手握っとるんや」
細い目をした勝呂君に問いかけられて、
「燐の手が暖いから、」
「お前らそうゆう関係なんか!それとも天然か!」
「うるせぇな!」
頭を傾けると、
志摩君が手を差し伸べてきた。
「俺の手も暖いと思いますよ!」
「じゃ、じゃあ」
苦笑しながらも志摩君の手を握ると、
本当に暖かった。
「奥村さんに握られてる!!!か、感動ですわぁ!!!」
「離せって!」
「ちょ、燐」
燐に無理やり引っ張られて、
歩き出す。
「どこ行くの」
「部屋、」
低い声で答えた燐を不思議に思いながら、
黙ってついていくことにした。
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