16歳 | ナノ

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「燐、お弁当…」

私は片手に燐のお弁当を持って、

燐を探索中。

あわてんぼうだから…お弁当を忘れていっちゃった…、

クラスが違うから渡すタイミングもなく、

「今頃燐は腹ペコかなぁー…」

急ごう、と思って駆け足になった時、

ドン、っと音を立てて背中から衝動が走った。

「ッ!」

その衝動にぐらついたが、持っていたお弁当が落ちてしまった。

「あ!いけない!!」

取ろうとした時、

お弁当に手が伸びた。

「ごめんなぁ、お弁当大丈夫かな?」

ふと視線を上げると、

そこにはピンクの髪の男の子が申し訳なさそうな顔をして立っていた。

お弁当を差し出されて、それを取って私は笑う。

「大丈夫、ありがとう」

さっきぶつかったのはこの人か、

「なんや!めっちゃ可愛い女の子!!」

「へッ?」

「一緒にお昼食べへん?」

「ごめんなさい、私、これ渡さないと」

お弁当を見せると、

勘づいたようで、男の子は笑った。

「ほな手伝ってあげるさかい!俺、志摩廉造いうんよ、よろしくたのんます!」

「志摩君、よろしく!私は奥村NO NAME」

「奥村さんやな!それは誰に届けるん?」

「私の兄の、燐に」

苦笑いしてそう言うと、

志摩君はしばらく考えて…

私をじぃーっと見た。

「もしかして奥村君の妹ちゃん…?」

「うん、そうだよ」

本当の兄弟ではないけれど、

「ってことは三つ子なん…?」

「ううん、私、義理の兄弟なんだ」

その言葉に志摩君は顔を濁らして、

謝った。

それに笑顔で、大丈夫、と言うと志摩君も笑ってくれた。

「奥村さんは塾には行ってないんやね」

「うん、」

関わるな、そう言われたから関われない。

でも燐と雪男にそれを言ったらなんて言うかな…?

反対、されるか…?

「たしかさっきここにいたはず…」

校舎の広場まで来ると、

人がざわついている。

「あ!燐!!」

燐の姿を見つけると、

燐も気づいてくれたらしく、

こっちに走ってくる。

だんだんと近づいてくる燐の顔はだんだんと引きつってくる。

「な、なんでお前がいんだよ…」

「失礼やなぁ奥村君、君を探すの手伝ってらだけやでー」

「そうだよ!燐ったらお弁当忘れちゃうから!!!」

お弁当を差し出すと、

燐は嬉しそうにそれをとった。

「ありがとな!NO NAME!志摩!」

そう言った燐に笑いかけると、

ぐいッっと志摩君が燐を引っ張って、

私から少し離れた。


「奥村ちゃん!めっちゃ可愛いやないの!」

「…お前、まさか」

「いやぁあの可愛さは反則ですわぁ!恋に落ちてもおかしくな」

そう言おうとした瞬間、

燐の声が遮る。

「許さねぇ!!!」

そう行って燐はNO NAMEの元に戻っていった。

「なんやぁ、偉いシスコンやなぁ…」




ま、当たり前か。


 

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