16歳 | ナノ
02033/5
父さんはサタンに殺された、
雪男とはそう言った、
燐はサタンをぶん殴る、って言った。
「…私は、何を、するの…?」
最近そんな考えが頭の中を占領して、
学校の授業にも集中できなくなってる。
私だってサタンと戦いたい。
なら私も祓魔師になったら…?
そしたら自分の身を自分で、守れる。
「そうなると分かっていましたよ」
「!?」
一人、部屋の中で考えていたのに、
いきなりすぐ横から聞いたことのある声が聞こえてきた。
「メフィストさん…」
この人は一体どこからこの部屋に侵入したのだろう…、
私を見てニッコリ笑うメフィストさん。
「貴方は祓魔師になることはありません」
「…私は、何か役に立ちたいのに」
「存在しているだけで貴方は十分神々しい存在なのですよ」
隣に座っていたメフィストさんは立ち上がって、
私の目の前に来ると。
深く頭を下げて、笑う。
「ど、どうしたんですかっ…?」
「祓魔師などに関わってはいけない」
「どうゆうことですか」
きっとこの人は隠してる。
私のことについて…。
「メフィストさん」
そう言いかけた時、
視界が暗くなった、
暖かさを感じている身体、
「貴方は、まだ知らなくていい」
メフィストさんに抱きしめられている、
な、なんで…。
耳元でささやかれた言葉には、
冷たさはない、ただ、
なぜかすごく優しげなような気がする。
この人、
なんだか分からない…。
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